傷寒論

傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…茯苓四逆湯〔69〕

69発汗、若下之、病仍不解、煩躁者、茯苓四逆湯主之、まず、結論からです。汗下法をかけることによって、急激に下焦の陽気 (腎陽) を弱らせ、陽気が格拒されて上に押しやられ上焦の熱 (心火) をひどくし煩躁する。汗下法で中焦のバケツが急激に小さ...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…芍薬甘草附子湯〔68〕

68 発汗、病不解、反悪寒者、虚故也、芍薬甘草附子湯主之、▶悪寒があるのに桂枝がない28 服桂枝湯、或下之、仍頭項強痛、翕翕発熱、無汗、心下満微痛、小便不利者、桂枝去桂加茯苓白朮湯主之、28枝去桂加茯苓白朮湯でも、「翕翕 (=衣服をたくさん...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…苓桂朮甘湯〔67〕

苓桂朮甘湯について、出典である傷寒論の原文に基づいて考察します。
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…厚朴生姜半夏甘草人参湯〔66〕

66 発汗後、腹脹満者、厚朴生姜甘草半夏人参湯主之、発汗後に脾気滞を生じていますが、情報が少ないです。60条「下之後、復発汗、必振寒、脈微細、以内外倶虚故也、」を思い出しながら考えます。桂枝湯証を発汗し、発汗しすぎた。下剤はかけていないので...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…苦温とは (薬学のまとめ)

厚朴 (苦温) についての理解を深めます。ついでに主な生薬の性質についての考察もまとめます。
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…苓桂甘棗湯〔65〕

65 発汗後、其人臍下悸、欲作奔豚、茯苓桂枝甘草大棗湯主之、桂枝湯証に桂枝湯を与え、発汗過多となる。65桂枝甘草湯証では胸に動悸がありましたが、本証は臍下に動悸がある。たまに見かけます。下腹に動悸がしてしんどい。“欲作奔豚” …いまや奔豚を...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…奔豚とは

奔豚とは、下腹からノドに向かって、豚がドドドドドッと走るような感覚があり、死を意識するほどの苦痛を伴う病証です。パニック障害も、発作で「死ぬかと思った」という表現を患者さんはされます。共通点があります。65条「発汗後、其人臍下悸、欲作奔豚、...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…桂枝甘草湯〔64〕

64 発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸、欲得按者、桂枝甘草湯主之、▶神舎が弱った桂枝湯証を発汗させ過ぎた。すると動悸が出た。手を交叉させて心臓部分を冒 (おお) う。胸を押さえたがる。喜按ですね。虚証です。こういう人は、寝るときもうつ伏せに...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…麻黄杏仁甘草石膏湯〔63〕

63 発汗後、不可更行桂枝湯、汗出而喘、無大熱者、可与麻黄杏仁甘草石膏湯主之、桂枝湯はジワッとした汗が出たらすぐに服用を止めなければならない。いつまでも服用を続けると発汗過多になってしまう。そうした発汗過多後に、自汗・呼吸困難が出たら麻黄杏...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯〔62〕

62 発汗後、身疼痛、脈沈遅者、桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯主之、▶概略桂枝湯証を発汗しすぎて、脱水を起こしたときの一例です。体が痛くなった。脈は沈遅である。16条で、「太陽病、発汗、…」という表現は、桂枝湯証を発汗し…と読んでみるん...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…乾姜附子湯〔61〕

61 下之後、復発汗、昼日煩躁不得眠、夜而安静、不嘔不渇、無表証、脈沈微、身無大熱者、乾姜附子湯主之、▶三陽の病ではないこの条文は60条を承けています。60「下之後、復発汗、必振寒、脈微細、以内外倶虚故也、」桂枝湯証を下し、発汗した。ダブル...
傷寒論私見〔58~〕

傷寒論私見…亡津液〔58・59・60〕

58 凡病、若発汗、若吐、若下、若亡津液、陰陽自和者、必自愈、▶亡津液をも念頭に16条を承けています。16「太陽病、三日、已発汗、若吐、若下、若温針、仍不解者、此為壊病、桂枝不中与也、観其脈証、知犯何逆、随証、」16条では、太陽病 (桂枝湯...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…復煩〔57〕

57 傷寒、発汗解、半日許復煩、脈浮数者、可更発汗、宜桂枝湯、主之、▶二陽併病で劇症二陽併病です。だから桂枝湯なのです。経過の短いパターンです。劇症です。これも難解ですね。単純に考えてみましょう。傷寒を発汗したら解した。半日したらと書いてい...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…承気湯 or 桂枝湯〔55・56〕

55 傷寒、脈浮緊、不発汗、因致衄者、麻黄湯主之、▶鼻血が出て治るものは麻黄湯証傷寒で、汗が出ずに、衄が出て治るもの、これは麻黄湯証だ、という法則を歌っています。この法則を踏まえたうえで、次の56条をよく読んで考えなさい、という意図がありま...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…二陽併病〔48〕

48 二陽併病、太陽初得病時、発其汗、汗先出不徹、因転属陽明、続自微汗出、不悪寒、若太陽証不罷者、不可下、下之為逆、如此可小発汗、▶本条文の着眼点二陽併病は46条でも展開しました。「其れ」とか「此れ」とか、指示代名詞が多いですね。44条「太...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…衄と併病の臨床例〔46・47〕

46 太陽病、脈浮緊、無汗、発熱、身疼痛、八九日不解、表証仍在、此当発其汗 、服薬已、微除、其人発煩、目瞑、劇者必衄、衄乃解、麻黄湯主之、さあ、難しい条文ですね。これは、ど真ん中ストライクではないが、ぎりぎり的に当てて治癒に導いた臨床例です...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…44条の法則〔44〕

44太陽病、外証未解者、不可下也、下之為逆、欲解外者、宜桂枝湯、主之、▶外証未解 3つの法則本条は42条を承けながらも、大原則を歌っています。原則は3つあります。まず、分かりやすくするために条文を2つに分けましょう。太陽病、外証未解者、不可...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…桂枝加厚朴杏仁湯〔42・43〕

42 太陽病、外証未解、脈浮弱者、当以汗解、宜桂枝湯、▶37条からの流れこの条文は、37条の補足であり、37条と同列にして異なる原則を示しています。37「太陽病、十日以去、脈浮細而嗜臥者、外已解也、設胸満脇痛者、与小柴胡湯、脈但浮者、与麻黄...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…小青龍湯〔40・41〕

40 傷寒、表未解、心下有水気、乾嘔、発熱而欬、或渇、或利、或噎、或小便不利、小腹満、或喘者、小青龍湯主之、▶アウトラインまず、小青龍湯という名称です。明らかに、大青龍湯と陰陽関係にあります。病理の上で、大青龍湯を意識しながら考えていきます...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…大青龍湯その2〔39〕

急に体が重くなることってありますよね。低気圧の襲来とか、嫌なことがあったりだとか、むちゃ食いをした後だったりだとか。また、コロナの後遺症なんかもそうです。中医学で言えば「重い」といえば湿です。それは当然基本なのですが、より高次の原因に風邪 ...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…大青龍湯 その1〔38〕

子どもが3人いますが、彼らが小さかった頃は、発熱するたびに悪戦苦闘でした。こんなヤブ医者に任せられないと見るや、妻が病院に連れて行ったものです。 しかしその繰り返しの中で、腕を磨きました。いまは、発熱などの感染症で手こずることはなくなりまし...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…小柴胡湯か麻黄湯か〔37〕

小柴胡湯とは少陽病の薬です。現代人は少陽病の人がほとんどですね。外に発散もできない (太陽病) 、ウンチでスッキリもできない (陽明病) 、それでモヤモヤが少昜にこもってしまう。本条文によれば、少陽病には2つの特徴があります。
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…麻黄湯〔35・36〕

麻黄湯といえば、カゼ薬として知られています。それはそれで間違いではないのですが、ただのカゼ薬と考えれば、それだけのものになってしまいます。漢方薬とはそんな浅いものではありません。麻黄湯は「表証」の薬です。表と裏は陰陽です。表を治せば裏も治る...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…葛根黄連黄芩湯〔34〕

葛根黄連黄芩湯の条文は、虚実の変幻、補瀉の妙について学ぶべきものです。
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…葛根加半夏湯〔33〕

33 太陽与陽明合病、不下利、但嘔者、葛根加半夏湯主之、▶傷寒の嘔逆との違い嘔というのは、「おー」という声のことです。嘔吐物はあってもなくても、「嘔」はあるというのが、ここで言いたいことです。桂枝湯証に乾嘔があり、麻黄湯証に嘔逆があるならば...
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…葛根湯その2〔32〕

葛根湯の適応となる、太陽と陽明の合病について考察します。
傷寒論私見〔32~〕

傷寒論私見…太陽陽明合病とは

太陽と陽明の合病という言葉が以下の条文に出てきます。張仲景先生の文体は、簡略に過ぎるため洞察力・言語力が必要です。そのためにはまず、すぐれた国語力が必要です。まず、太陽陽明合病とは何か、ということを明確にしてから、それぞれの薬の説明に行きた...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…葛根湯その1〔31〕

葛根湯は、桂枝湯 (補剤) と麻黄湯 (瀉剤) の合法に葛根を足したものです。虚実錯雑に効く特徴を兼ね備えています。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…甘草乾姜湯・芍薬甘草湯・調胃承気湯・四逆湯〔29〕

29 傷寒、脈浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反与桂枝湯、欲攻其表、此誤也、得之、便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯与之、以復其陽、若厥愈足温者、更作芍薬甘草湯与之、其脚即伸、若胃気不和、譫語者、少与調胃承気湯、若重発汗、復加...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝去桂加茯苓白朮湯〔28〕

28 服桂枝湯、或下之、仍頭項強痛、翕翕発熱、無汗、心下満微痛、小便不利者、桂枝去桂加茯苓白朮湯主之、▶結論から桂枝湯証に桂枝湯を与えた。あるいは陽明病かと思って下した。ところがなお、頭項強痛し、さむがって発熱し、微似汗が見られない。心下満...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝二越婢一湯〔27〕

27 太陽病、発熱、悪寒、熱多、寒少、脈微弱者、此無陽也、不可発汗、宜桂枝二越婢一湯、▶はじめに見ての通り、症状としては往来寒熱と脈微弱しかありません。これで太陽病というのは無理があります。これでは少陽病との見分けがつきません。少陽病には太...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…白虎加人参湯〔26〕

26 服桂枝湯、大汗出後、大煩渇不解、脈洪大者、白虎加人参湯主之、▶風邪の勢いが強すぎた可能性24 太陽病、初服桂枝湯、反煩不解者、先刺風池風府 、却与桂枝湯則愈、25 服桂枝湯、大汗出、脈洪大者、与桂枝湯、如前法、この2つの条文を承けてい...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝二麻黄一湯〔24・25〕

24 太陽病、初服桂枝湯、反煩不解者、先刺風池風府 、却与桂枝湯則愈、25 服桂枝湯、大汗出、脈洪大者、与桂枝湯、如前法、若形如瘧、日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯、▶結論から▶文の構成 ①②と③24条と25条は、合わせて読んでいきます...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂麻各半湯〔23〕 ▶虚実錯雑を原典に求める

虚実錯雑という言葉は、本ブログでたまに使います。補法なら安全だ、とよく言われますが、実際の臨床で持続的に効果を上げる上では、必ずしもそれは言いえていません。虚実錯雑だからです。深く考察してみましょう。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝去芍薬湯〔22〕

桂枝去芍薬湯証と桂枝去芍薬加附子湯についてです。ここでいう太陽病とは16条で説明したように、桂枝湯証のことです。これを誤って下してしまった。成書では、胸に邪が陥下して胸陽が伸びない状態であると説明されます。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝加附子湯〔21〕

傷寒論原文に従い、桂枝加附子湯について考察する。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…肌表とは、解肌とは〔17〕

傷寒論の条文に従って、肌表とはどこか、解肌とは何かを考察します。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝湯の “壊病” とは〔16〕

桂枝湯の壊病とは、誤治によって起こった病証のことです。これにもう少し踏み込んで、桂枝湯証に似てはいるがもう桂枝湯では効かないもの、桂枝湯証に似てはいるが似て非なるもの、という見解を加えます。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…気上衝とは〔15〕

傷寒論でいう “気上衝” とは。これが分かれば「表」が分かったということである。表が分かったということは「裏」が分かったということである。張仲景先生が、それほど深い概念を説明しようとしているとは、ぼくの勘ぐりが過ぎるのだろうか。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝加葛根湯〔13・14〕

13 太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風者、桂枝湯主之、12条でも説明したように、「太陽病」とは脈浮・頭項強痛・悪寒があるという意味の言葉です。つまり、本条文の「太陽病」という部分に「脈浮・頭項強痛・悪寒」を代入すると、脈浮・頭項強痛・悪寒・頭...
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…桂枝湯〔12〕

桂枝湯証について、傷寒論の原文に基づき私見を展開します。悪寒と悪風の違いを認識することは、傷寒論を読み解く上での基本であると思います。…嗇嗇として悪寒し、淅淅として悪風し、翕翕として発熱す…芸術的とも言える張仲景の文章に迫ります。
傷寒論私見 〔1~〕

傷寒論私見…太陽病・中風・傷寒〔1~3〕

太陽病・中風・傷寒について、傷寒論を紐解きながら考えます。風邪と寒邪の割合が、中風 (表寒虚) と傷寒 (表寒実) とでは異なるのではないか。虚実よりも、この切り口から考えると、温病まで包括できる立体的なとらえ方ができます。
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