乳幼児アトピー性皮膚炎の原因と治療法

5歳の次女のことでお伺いします。生まれた時から身体の不調があります。
※ほかに年子で長女6歳,三女2歳がいますが、二人は特に不調なしです。

【病歴と現症状】

  • 乳児湿疹あり。
  • 産まれて3か月くらいは手足の冷えがひどく紫色になることもあった。
  • 1歳ごろよりアトピー性皮膚炎発症。ステロイドは2回ほど使用した。今はましだが、乾燥肌+手の湿疹がひどい(特に春先)。
  • 4歳ごろに喘息発症。現在は薬服用なし。ひどいときに気管支拡張剤を吸入。2か月から3か月に一回くらいカゼを引き、軽い喘息発作をともなう。

気になっているのが、手足が冷えやすく、冬などは氷のようなのに、本人は暑がるということです。春先も、少し歩くと暑いといいだし、半袖になりたがります。熱がこもっているのかなと…。汗は多少かくのですが、長女や三女ほどの量はない気がします。あたためればいいのか、ひやせばいいのか…。

思い当たることがありましたら教えていただきたいです。

一部に字句の校正を行った
東洋医学をいっしょに勉強しよう!

アトピーと喘息があるのですね。
今回のご相談における、その他の要点は、

  • 年子。
  • 手足が冷えるのに暑がる。
  • 汗が少ない。乾燥肌。

と、まとめることができるかと思います。

経験的には、患部がゾウの皮膚のように分厚くゴワついているものは治りにくく、より時間がかかります。こういうものほど手足の冷えがしつこく、大人になるとレイノー症状 (指先の一部が白いロウのように変色する) が出ることもあります。

基本的な病理

アトピーも喘息も基本的な病理は同じです。表面 (表) が、冷え (寒邪) に取り囲まれ、そのため内側 (裏) に熱 (邪熱) がこもります。表裏という概念が東洋医学にはあります。魔法瓶のような状態をイメージして下さい。これについては、病因病理…表証と「魔法瓶」 で詳しく説明しましたので、まずはそれをご覧ください。

魔法瓶に熱いお湯が入っていれば、中は熱くて表面が冷たいですね。

だから暑がります。そして手足は冷たくなります。

邪熱は外に発散したがっています。もし外に逃げ出せれば、その途中にある手足が温まり、それだけでかなり改善します。しかし寒邪に覆われているので、逃げたくても逃げることができません。

乳児アトピーの症例 から転載

では、なぜ寒邪に覆われるかというと、なめられているからです。隠れ表証と大阪城 では、秀頼の大阪城を家康が取り囲んだ「大阪冬の陣」に例えて説明しています。これを御覧ください。

ネフローゼ症候群の症例 より転載

なめられるのは弱いからですが、これは年子も関係あるかと思います。

毎月の月経 (一生に400回前後) をおこすだけでも大仕事です。だから1ヶ月弱の休憩時間がある。妊娠出産ともなると一生に数回の巨大な月経です。それを休む間なしに立て続けとなると、母体に掛かる負担は想像以上で、母体が相当丈夫でない限り、胎児にも禀賦 (天賦の生命力) が不足します。だから弱くなる。だから寒邪はなめて、取り囲むのですね。

これは、これから妊活を行う方に知っておいていただきたいことです。

禀賦不足を補う

禀賦不足については、先天の気・後天の気を補充するには で詳しく説明してありますのでそちらをご参考になさって下さい。

不足した禀賦を補うには、脾を頑丈にすることです。これはコントロールが可能です。

脾を弱らせる要素は、

  • 食べすぎ・食べなさすぎ…  (間食・食べ過ぎ・断食)
  • 動きすぎ・動かなさすぎ…  (仕事のしすぎ・過度の外出・運動不足)
  • 考えすぎ・考えなさすぎ…  (悩み・正しい価値観の欠如)

です。

このうち、子供に圧倒的に多いのが、間食 (食事時間以外のおやつ) を摂ることと、ご飯を食べないこと (おかずばかり食べたりパンやメンを主食にしたりすること) です。

これらのなかに改善点があれば、それを1mm、1cmでいい、良い方に進めていく。完璧は✕、できるだけが〇です。

邪熱を生まない

次に、できるだけ邪熱を生まないことです。

邪熱を生む要素は、

  • ストレス
  • 食べすぎ
  • 気温の急激な上昇

です。

これらのなかに改善点があれば、それを1mm、1cmでいい、良い方に進めていく。完璧は✕、できるだけが〇です。外気温はコントロールできないので、原因としてだけ知っておけばいいです。

春が特に悪化するとのことですが、春は気温の急上昇が見られ、裏に邪熱を生みやすくなります。また冬に受けた表の寒邪も残存しており、より熱湯に近い魔法瓶状態となりやすくなります。ただし、気候はコントロールできないので気に病まないことだと思います。それよりも、一年を通してコントロールできる部分に正しい努力を払うべきだと思います。

寒邪を呼ばない

次に寒邪に対する防ぎです。

寒邪とは、たとえば体温が37℃ (人体の脳の深部体温は37℃) であれば、36℃であれば1℃の冷えがうまれますが、その冷えが生命に悪影響を与えるものを寒邪と呼びます。これが裏の邪熱を抑え込むのですね。

温めると邪熱を助長することになりかねません。ですから、無理に温めることは意味がないと考えて下さい。春先に急に暑くなると痒みが増すことからもお分かりですね。

加熱 (カイロ) と保温 (重ね着)
間の体温 (深部体温) は、約37℃である。 つまり人間の体は、37℃のお湯がはいったペットボトルの容器のようなものである。たとえば気温が10℃だと、放っておけばやがて37℃のお湯は冷めて、10℃になってしまう。 冷めないようにするにはどうすればいいか。 ペットボトルをタオルでグルグル巻きにするのである。一重で足りなければ二重に、二重で足りなければ三重に巻けばいい。これが服の重ね着である。皮膚から服の表面までの空気の層が厚ければ厚いほど保温性が高くなる。ピチッとした服をいくら重ね着しても、保温性は高くない。

ではどうするかというと、冷やさないようにする。37℃に満たない温度の飲食物をひかえることが重要になります。冷たい飲食は控える をご参考にしてください。

冷たい飲食は控える の、とくに「缶ビール」の説明のところをよく読んで、服装よりも飲食物の温度のほうが重要であることを理解して下さい。たぶん、冷たいものを飲食したがると思います。裏に邪熱があって、それを冷ましたがるからです。しかし、そういうものを飲食すればするほど表の寒邪が増して、出来の良い魔法瓶になってしまいます。

これも、これらのなかに改善点があれば、それを1mm、1cmでいい、良い方に進めていく。完璧は✕、できるだけが〇です。嫌がるものを強制すれば逆効果です。

あとは寒くないように服で防寒する。これは本人が寒くないと感じていれば、それ以上着せたり室温を高くする必要はないと考えて下さい。

子供のストレス

かきむしる姿を見ていると、親としてはいたたまれないほど辛いものです。だからどうしても「かいちゃダメ」となります。しかし、ダメ・ダメでは逆にストレスになります。そうすると、隠れてかきむしったり睡眠中にかきむしるようになります。親の目を盗んで、結局はいつかかきむしる。

なので、そんな実りのないことに「ダメ」という「とっておきの大切な言葉」を乱射するのは得策ではありません。肝心なときに言うことを聞いてくれなくなります。かくことがあれほど気持ちいいということは、かくことで何かが満たされている側面すらあることに気づいてあげることです。

いやいや、そういうことではない。

受け入れること、認容することです。

小さな子供の場合、もっとも大切なことは「抱きつかせてあげる」ことです。

これを、お母さんが思うようにできないならば、それが乳幼児にとっての最も大きいストレスになると考えていいでしょう。

お菓子ばかり食べたり、ご飯を食べずにおかずばかり食べたり、パンやメンやカレーやチャーハンは食べるが、白米を食べようとしない子が多いですね。これは満たされていないからです。満たされていないから甘いものを欲しがったり旨味の強いものをたくさん食べたりするのですね。最初から愛で満たされていれば、胃袋を過度に満たす必要がなくなります。

また、ストレスが邪熱のもとになる…とは先ほど言ったとおりです。邪熱がこれ以上増えないようにするために、「抱きつかせてあげる」は非常に有効な方法です。

お母さんの温かみに触れて、こどもは陰の力を得ます。陰は、陽の行き過ぎ (邪熱) を制御してくれます。陰とは、落ち着き・やすらぎ・うるおい・クールダウンする力のことです。子供の間は、母親からこれを補給していると言っていいでしょう。大人になったら大自然からこれを補給するすべを得ていくのです。

陰陽って何だろう
陰陽とは何でしょう。たとえば一枚の紙の表裏をイメージします。表と裏は真逆ですが、表のない紙、裏のない紙ならば、紙として成り立ちません。 陰陽とはこのように、相対する概念でありながら、一つの事象や概念を、協力し合って作り出すものです。

当たり前のことですが、夫婦が仲良くするということは、子供のとっての最も大きなやすらぎです。これが欠けていて子供が病弱であるとするならば、そこがまず着手すべき改善点となります。子供を心の底から抱きしめてあげるには、まず夫婦が幸せであることが前提です。

3人もお子さんを抱えておられると大変だとは思いますが、とても大切です。そのためにも、お母さんが心身ともに余裕のある状態 (健康) であることが必要です。不健康だと、抱きつかれても拒んでしまうものです。健康であれば、足元にまとわりついていても、そのまま移動したり用事したり (笑) もできるものです。これも「できるだけ」です。そういうものを、子供はかえって喜びます。

「できるだけ」のことをしてもらうことを、人間は最も好みます。

お母さんの治療が必要になることは、幼児アトピーでは非常に多く見られます。お母さんが満たされていてこそ、子供を満たしてあげることができるのです。まずお母さん、というケースは少なくありません。

生命力を雪だるま式に

根本的には、脾を頑丈にして禀賦不足を補うこと。
その上で、これ以上の寒邪を寄せ付けないようにすること。
さらに、心穏やかに安心して成長していくことです。

これらの知識の上に、中医学的な方法を駆使して治療は行われます。

もともと禀賦不足があっても、これらに一つ一つ丁寧に向き合っていけば、必ず正気 (生命力・治癒力) は大きくなっていきます。

それは雪だるま式と言っていいと思います。雪だるまは雪の上を転がれば、どんどん大きくなっていきますね。正気も「正しい生き方」の上を転がれば、どんどん大きくなっていきます。

ただし重要なのは、最初に作る小さな雪だるまです。これが小さすぎると、うまく転がらない。バランスの取れないイビツな形だと、ますますイビツな形になって途中で転がらなくなってしまう。

まんまるに、そしてある程度の大きさまで作ってやることが大切です。そして、そういう雪だるまを転がせばスムーズに転がる。放っておいても坂道を勝手に転がり、大きくなることが出来ますね。

転がす前の雪だるまを上手に作る。これが治療だと思って下さい。治療をしないとうまく行かないことがあるのは、最初の雪だるまをうまく作れないことによるとイメージしていいでしょう。

「正しい生き方」という真っ直ぐな道を、幸せに満ちたキラキラした目で歩んでいかれることを祈っています。

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