東洋医学は、人体生命を機能 (ハタラキ) としてとらえ、それを基礎として理論を積み上げてきました。その理論は、喘息というものをどう分析しているのでしょうか。
東洋医学では、喘息というカテゴリーを、細かく分類します。咳・喘・哮です。何千年も前から使われている言葉なので、現代語訳してみましょう。
その前に…。
東洋医学は人体をどのように捉えているのでしょうか。
「四診とは…望診・聞診・問診・切診」では東洋医学的視点とは何か、について説明しています。
東洋医学では「喘息」をどう見るか
咳
咳が出る病態。これは現代語の咳と同じです。哮・喘を伴うこともあるし、伴わないこともあります。慢性化し、体力を消耗すると、喘に移行します。
喘
息がしたくてもできない呼吸困難の病態。喘息だけでなく、過呼吸や心臓疾患によるものも含みます。咳・哮を伴うとは限りません。
哮
喘で、ある特徴を兼ねたもの。その特徴とは、呼吸をすると、ゼイゼイ・ヒューヒューという音がし、必ず発作期と緩解期があります。急にゼイゼイしだしたり、何ともないときは平気で普段通り…というのが哮です。咳を伴うとは限りません。
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以上、咳・喘・哮の3つが混在する部分が喘息です。
ですから、喘息を知るには、咳・喘・哮それぞれの病因病理を知る必要があります。それを知ったうえで、患者さんの状態から、どれを主に治療するかを判断し、効率的に治療効果を挙げる工夫をしながら、好循環を生み出し、治療します。
以下に、咳・哮・喘の原因と、それぞれの治療方法を見ていきましょう。
咳の原因
1.外邪
咳の原因で、いちばん多いのは、言わずと知れたカゼです。外邪とはカゼの原因と考えてください。昨日まで暖かかったのに急に寒くなった…。爆弾低気圧で風がすごい…。そういう気候の大きな変動を受ける。また、体力が弱っていたり、空気中に感染力の強いウイルスがいたりすると、少しの気候の変動でも外邪を受けてしまいます。
外邪は、皮膚を冷やし、肺に影響を与えます。
東洋医学でいう肺とは、皮膚も含んだ機能です。口から蒸気を含んだ息を吐くように、皮膚からも温かい蒸気を放出しています。実はこれが寒さ (外邪) から身を守るバリアのような役目を果たしています。この蒸気のようなものを「衛気」と言います。
外邪が強かったり、衛気が弱かったりすると、衛気を発散するという肺の機能が抑えられてしまいます。出口をふさがれたホースのように、衛気は外に出たいけれど出られず、肺の発散しようとする力が外邪と衝突して滞り、通じさせようと体がもがく結果、咳が出ます。
気をめぐらして外邪を取り去る治療を行います。
身柱・外関・合谷・少沢など。
2.気滞
気滞とは、気の滞りのことです。気とは機能です。気は陽なので、動き回る性質があります。ここでは、グルグルめぐらせる機能が滞る…と考えてください。もし、その人のウィークポイントが肺だと、気滞によって肺に渋滞が生じ、衛気がうまく外に発散できず、肺の発散しようとする力が停滞し、通じさせようと体がもがく結果、咳が出ます。
気滞の原因で一番多いのは、ストレスです。次に運動不足です。まれに運動のし過ぎで気滞をおこすものもあります。
気滞は緊張と言い換えることもできます。緊張は、精神的・肉体的、両方の緊張です。ストレスで悪化したり、運動すると楽になったりします。ですので、咳を気にしたり、ジッと動かずにいたりすると咳が出ます。時に激しく咳き込んだり、時に何もなかったりします。横になると急に咳が出ます。体を休めようとすると、めぐらせる機能が弱まるためです。
気滞が高じると気逆になります。気は陽なので上に昇る性質があります。だから逆上しやすくなる。こういう咳は、のぼせを伴ってきます。
気滞を取り去る調整法 (瀉法) を行い、治療します。多くは肝臓と関連のあるツボを用います。
後渓・内関・百会・筋縮・曲泉など。
≫「気滞とは」 (正気と邪気って何だろう) をご参考に。
≫「東洋医学の肝臓って何だろう」をご参考に。
3. 痰湿
痰湿とは水 (ここでいう水とは、栄養分を含んだ水分のことです) の滞りのこと。水はサラサラ流れているから水でいられますが、モタモタしだすとネバネバしたものに変化します。これを痰湿といいます。
モタモタする原因は、過剰な水が体内にあるからです。つまり、食べ過ぎ・飲み過ぎ+運動不足。これらが痰湿を形成します。長い蓄積が痰湿を生みます。痰湿はネバネバしているだけでなく、ツルツルと動く性質があり、全身の流通ルートに乗って移動し、肺に溜まります。
肺の発散しようとする機能が痰湿によって邪魔され、通じさせようともがく結果、咳が出ます。
(ア) 食べ過ぎ
肉・油脂分・乳製品・甘いものを摂り過ぎている割に運動しない。あるいは間食の習慣がある。これらは脾臓の栄養分を巡らせる力を阻害し、痰湿を生み出します。
(イ) 冷たい飲食物のとり過ぎ
生もの (さしみ・サラダ・果物・冷水・アイス) を摂りすぎている割に運動しない。これらは肺の「温かい蒸気を発散させる力」を阻害します。蒸気は冷やされて動かない水となり、痰湿を生じます。
痰湿を取り去る調整法 (瀉法) を行い、治療します。多くは脾臓と関連のあるツボを用います。
豊隆・中脘・梁門・不容など。
≫「痰湿とは」 (正気と邪気って何だろう) をご参考に。
≫「東洋医学の脾臓って何だろう」をご参考に。
4.邪熱
気滞が強くなると邪熱に変化します。気滞=緊張。緊張が長く続くと熱を生む。これは自然法則です。空気も圧縮すると熱くなります。地球の深部は引力で高圧・高温です。気は陽なので、熱化しやすいとも言えます。気滞の原因はストレスや運動不足でしたね。これが邪熱を生むわけです。
また、痰湿も邪熱のもとになります。痰湿があれば、流通が悪くなるので、結果的に滞って気滞を生じます。その気滞が邪熱に変化し、痰湿と結びつきます。この状態を湿熱と言います。湿熱は邪熱の一形態です。痰湿は食べ過ぎが原因でしたね。これが邪熱を生むわけです。
つまり、邪熱の原因の元は、ストレスや食べ過ぎということです。外邪も、皮膚から体内に侵入すると邪熱に変化します。
咳や喘息では、気管・気管支が炎症をおこします。炎症とは、真っ赤に腫れて熱を持った状態。東洋医学的に、炎症の正体は邪熱です。
督脈 (背骨に沿ったライン) 上のツボや、手の十井穴を用いて、邪熱を取り去る調整法 (瀉法) を行い、治療します。
咳から喘息 (喘・哮) に移行
痰火の生成
上記のように、肺に存在する外邪・気滞・痰湿は熱化して、最終的に邪熱となります。この邪熱が、肺の水 (水とは栄養素を含んだ水分) を煮詰め、さらなる痰湿を形成します。痰湿が長期化すると、さらなる邪熱を生みます。
このように邪熱が痰湿を生み、その痰湿が邪熱を生み…という悪循環が生じます。こうした痰湿・邪熱のコラボを「痰火」といいます。これは非常にしつこい邪気です。
腎陰の損傷
痰火は激しい熱を持っており、体のクールダウンする体力 (腎陰) を奪います。腎陰が弱ると、腎臓そのもの (生命力・回復力) が弱ります。
腎臓の弱りが喘 (息ができない) の温床となります。
腎陰の弱りによって、ますます激しくなった痰火の熱は、肺の水をさらに煮詰め、さらなる痰湿を肺に作ります。こうして肺に蓄積した痰湿が、哮 (ゼイゼイ) の温床となります。
喘の原因
喘とは息がしにくい、または出来ないことです。喘息には、かならずこの状態があります。
喘とは、喘息だけではなく、過換気症候群・肺気腫・心臓病ののなかにも見受けられます。一過性でバイタルに危険のないものから、酸素の吸入を常に必要とする命の危険と隣り合わせの疾患まで様々です。その多様な病態の中に、喘息が含まれるのです。
喘を考えるまえに、まず、呼吸についての東洋医学の見方から説明します。
呼吸は、呼気と吸気からなります。吐く息と吸う息のことです。
呼気とは、外・上に出すことです。肺から口に上って外に出しますね。
吸気とは、内・下に入れることです。口から肺に下って内に入りますね。
その繰り返しが呼吸です。
もちろん呼吸は肺が行います。それを、下から牛耳っているのが腎です。
地球を人体だとすると、地球の内部から、万有を引っ張る力 (引力) が腎に相当します。腎には求心力があって、吸気を体内に引っ張り込み、それだけでなく大小便を外に漏れないように引っ張り込んでいます。
その万有引力に逆らって上昇するのは、水蒸気や雲です。この上昇する力が肺に相当します。そして雲は、やがて引力に引っ張られて雨となって下ってきます。
地球において、この昇降によって生物の生命が保たれているように、人間においては、呼気と吸気の昇降によって命が保たれているのです。
肺は呼気を行い、腎は吸気を行います。肺もしくは腎の機能が障害されると、喘がおこります。つまり、肺が病むと息が吐けなくなり、腎が病むと息が吸えなくなるのです。
肺臓・脾臓・腎臓などの言葉は、東洋医学では意味が全く違います。なぜ? 詳しくはこちらをどうぞ。
「五臓六腑って何だろう」
東洋医学は、なぜ「たとえ」を多用するのでしょうか。詳しくはこちらをぞうぞ。
「東洋医学の気って何だろう」
1.肺に問題
「咳の原因」で、すでにご説明した、外邪・気滞・痰湿・邪熱は、肺の機能 (皮膚から衛気を発散させる機能) を抑え込みます。その結果、衛気を発散できず、それを無理やり発散しようとする結果、起こるのが咳でした。
もっと強く肺の機能が抑え込まれると、衛気を発散できないだけでなく、呼気も外に出すことができなくなります。
息を吐くことができず、呼吸困難になります。
治療方法は、咳に準じます。「咳の原因」1.外邪 ~ 4.邪熱 をご覧ください。
2.腎に問題 (腎不納気)
腎が弱ると息を吸い込む力が弱くなります。下から引っ張る力がなくなるからです。命にかかわる重症の喘は腎の弱りがあります。低酸素状態で、非常に重篤な病態、たとえば重度の喘息、肺気腫などがそれに相当します。腎の弱りがあるので手足に浮腫 (むくみ) が生じます。
上図のように、肺の発散する力の弱りは、腎の引き込む力の弱りにつながります。
つまり、腎に弱りがあるということは、外邪・気滞・痰湿・邪熱・痰火・肺の弱り・脾の弱りなどあらゆる原因が同時に存在することを示します。それらを勘案して、腹部の穴処を用います。
哮の原因
哮は、呼吸をすると、ゼイゼイ・ヒューヒューという音がする病態で、必ず発作期と緩解期 (ゼイゼイ言わずに落ち着いている時) があります。発作期には、必ず喘 (息ができない) を伴います。
発作を爆発に例えると、爆発を起こす原因には、「火薬」と「引き金」があります。発作期は引き金を取り去る治療を行い、とりあえず発作を収め、それ以上の体力の消耗を防ぎます。緩解期は火薬を生む原因を解決することを専らにします。
では、具体的に、火薬とは何か、引き金とは何かについて、ご説明します。図をご覧ください。
緩解期…火薬の原因と治療法
火薬とは痰湿のことです。痰湿が生じることを生痰と言います。痰湿は、水 (栄養分を含んだ水) が煎じ詰められてできたもので、ノドだけでなく、全身に存在します。痰湿は、全身の流通ルートに乗り、最終的に肺に到達し、そこに蓄積されます。
地球の水が集められて、最終的に雲になるのと似ています。肺も雲も上にあります。
蓄積された痰湿がたくさんあると、引き金を引いたときの爆発 (ゼイゼイの発作) が大きくなります。ですから、水の通りを良くし、不用な水を体外に排出できれば、痰湿がなくなります。
雲一つない爽やかな空にするのです。
痰湿がなくなれば、火薬がなくなります。緩解期は、痰湿を減らす治療に専念します。
痰湿をつくる原因は以下のものがあります。
1.肺で生痰
外邪に侵され、カゼを引くと、肺が弱って働かなくなります。すると肺で水が滞り、痰湿を生みます。
治療は、外邪を取り去る治療法を行います。
太淵・列缺・肺兪・外関・申脈などを用います。
外邪に侵されているときは、運動・お風呂・冷たい飲食は避けるべきです。肺を強くし、外邪の侵入を予防するためには、肺だけでなく、後述する脾と腎を強くしておかなければなりません。
2.脾で生痰
脾虚があると痰湿が生じます。脾虚とは脾の弱りです。脾とは…。
食物を摂り、消化してドロドロの液体にし、そこから栄養分と水分を選別して吸収し、栄養分ょ含んだ水は各細胞に配られ、活動のためのエネルギーに変化して、最終的に栄養分そのものが消えて無くなる…というルートを動かす機能のことです。
いらないものは大小便として排泄するルートも脾が担っています。このルートを動かす機能が弱ると、栄養分のまじった水が滞り、痰湿が生じます。
食べ過ぎ・食べなさ過ぎ・動き過ぎ・動かなさ過ぎは、すべて脾を弱らせます。また、外邪に侵された状態 (カゼを引いている状態) が続くと、痰湿がさばけず、痰湿により脾を弱らせます。
治療は、脾という体力・機能を補う治療法を行います。
脾兪・足三里・太白など。
3.腎で生痰
腎虚があると、痰湿が生じます。腎虚とは、腎の弱りのこと。腎とは…。
受精による生命誕生や、寿命に関わる神秘的な生命力です。食べ物から得られる生命力 (脾) とともに、生命をになう二本柱の一つです。腎臓は水を蒸発させ上に持ち上げる働きがあり、水を流通させる最も大きなモーターでもあります。
水は持ち上げることが最も大切で、持ち上げさえすれば、後は勝手に下って流通します。なので、腎虚が起こると、全身に水をめぐらせることができず、痰湿を生じます。
腎虚がおこるのは、老化・生まれつき体が弱い・セックスのし過ぎ・無理のし過ぎ・睡眠不足が原因です。また、上記の 1.肺 2.脾 で生じた痰湿は、最終的には全て腎に負担をかけ、腎虚の原因になります。
腎という体力を補う治療 (補法) を行います。
腎兪・照海・陰谷・関元など。
必要に応じて、脾虚の治療も組み合わせます。
痰湿をとるには、水の通りを良くする必要があります。水の通りを良くするためには、水がどのように循環しているかを知る必要があります。体内における水分が新陳代謝するメカニズムは「浮腫 (むくみ) …5つの原因と治療法」に詳しく説明させていただきました。それを参考にしてください。
1.肺で生痰 ~ 3.腎で生痰 の病理で作られた痰湿は火薬として肺に蓄積します。そこに
●急な寒さ (外邪)
●ストレス (気滞)
●食べ過ぎ (痰湿)
…という引き金が引かれると、肺に蓄積していた痰湿が暴発し、ゼイゼイの発作を起こします。
発作期…引き金の原因と治療法
発作期は、とりあえず発作を止めます。引き金を取り去れば、発作は止まります。
発作を止める治療は、咳を止める治療とほぼ同じです。引き金は、咳がおこるメカニズムとほぼ同じで、哮と咳との違いは、火薬としての痰湿があるかないか、という点だけです。
原因・治療は、咳の原因と治療法と同じですので割愛します。
1.外邪
発作の引き金は、寒さなど、気候の変動によるものが多いです。
2.気滞
ストレスによる気滞も、発作の引き金になります。
3.痰湿
脂っこいもの・甘いもの・冷たいものを食べ過ぎ、しばらくすると発作が起こることもあります。痰湿が急に増えたためです。
4.邪熱
1~3が熱化しても、発作の引き金になります。熱化したならば、熱を取らなければなりません。
夜に喘息発作が起こる理由
ゼイゼイの発作は、夜に起こることが多いです。
夜全般にいえること
これは、原因となる痰湿の発生機序に関係します。「浮腫 (むくみ) …5つの原因と治療法」をご覧いただくと分かるように、水がサラサラと動くためには、
●脾が丈夫であること、
●腎の温める作用が強いこと、
が大切です。
体を動かす日中は、脾が活発になり、腎も温まりやすくなります。そのため、水が流れやすく、痰湿の量が減り、昼間は発作が起こりにくくなります。逆に寝静まってじっとしている夜は、痰湿の量が増え、痰湿が多ければ多いほど、引き金が引かれたときの発作が起こりやすくなります。
発作が起こると、寝ているよりも座っている方がマシに感じるのは、痰湿が少しは流れやすくなるからです。
宵の口から深夜の発作
原因の一つである邪熱が関係します。1日のうち、邪熱は夕方から深夜にかけて 激しくなる傾向があります。1日の終盤は、もっともオーバーヒートしやすく、邪熱を助長します。邪熱は痰湿を生み出します。
これと、寝静まってじっとしている…という条件が重なると、宵の口から深夜にかけて発作が起こります。
宵の口は浅い邪熱が関与し、深夜は深い邪熱が関与します。
明け方の発作
普段から冷たい飲食物を過剰摂取していると、肺の「皮膚から温かい蒸気を発散させる力」を阻害します。皮膚は冷え、まるで魔法瓶のような状態になっています。
そういう状態で明け方の最低気温となる時間帯を迎えると、寒邪をより敏感に感受し、魔法瓶状態が極端になります。皮膚は冷えて発散できず、内は熱がこもって炎症を起こしやすく、そのうえ一晩中寝ていて痰湿が増加している…という、まさに引き金と火薬がそろった状態となります。
もともと夜更かし型の人も、明け方に発作を起こしやすくなります。夜の暗い時間帯の睡眠があってこその朝の爽快さです。喘息発作に限らず、早朝に症状が出やすい人…たとえば、朝だるい・朝いたい…などは、そういう生活習慣の積み重ねが原因で、夜 (腎) が養えていないために、朝 (肝) が伸び伸びできない…という側面もあります。こういう人は春の木の芽時に症状が悪化しやすいという特徴もあります。
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寒邪 (皮膚) >邪熱 (体内) なら、明け方の発作が多くなります。邪熱>寒邪なら、宵の口が多くなります。
まとめ
1.原因のまとめ
以上から、喘息の原因は…
①食べ過ぎ飲み過ぎ・運動不足 → 痰湿・脾虚
②ストレス・運動不足 → 気滞
③無理のし過ぎ・睡眠不足・セックスのし過ぎ → 腎虚
と、まとめることができます。
脾や腎が健全で、気滞がなければ、体の流通は速やかです。流通が速やかなら、カゼを引きにくくなります。また、ノドの炎症の正体である邪熱も生じません。そういう健全な状態なら、生まれつき体が弱くても、強くなっていきます。年とともに体が衰えてきても、全体のバランスがとれていれば、健全な老い方ができます。①~③に挙げた原因は、自分でコントロール可能なものなので、真の原因と言えます。
2.治療方法のまとめ
東洋医学では、喘息を、咳・喘 (息ができない) ・哮 (ゼイゼイの発作) の3つの側面から分析しています。喘息を起こすきっかけは、多くはカゼをこじらせ、咳が止まらず、ゼイゼイ・ヒューヒュー言いだし、それが慢性化して呼吸困難が日常的に起こる…という経過をたどります。その場面場面で、東洋医学の分類をあてはめれば、治療を工夫できるようになっています。
ストレス・飲食の問題で脾臓を弱らせ、抵抗力が落ちたところで外邪に見舞われる。二重三重の原因によって、痰湿という副産物が体内でドンドン増え、生命の源である腎臓まで弱らせる。慢性化をたどる負のサイクルを解決する糸口はどこにあるのか。東洋医学はそれを示唆し、もつれをほどく筋道を教えてくれています。