緑内障…東洋医学から見た原因

【質問】
質問させてください。
最近わたしの知人で緑内障の人が増えています。
緑内障になるには何らかの原因があるはずで、自分でできる生活習慣の注意などありましたらどうぞご教示くださいませ。
また、ここのところ、日光アレルギーと緑内障を併発している友人に、立て続けに3人会いました。
眼圧上昇とアレルギー症状は一見関係なさそうに見えますが、生体の機序として、東洋医学的には関係しているのでしょうか?
お教えくださいませ。よろしくお願いいたします。

【回答】
よく観察されていますね。そもそも医学はこういう緻密な観察と、素朴な疑問から生まれ、そして発達していきます。こういう視点はとても大切です。

▶緑内障の病因病理

▶上に気が上る

緑内障の病因病理の基本になるのは気の上昇です。

例えば、怒ると気が上に上りますね。ふつうはまたすぐに気が下がるので問題ないのですが、気が上り続けると、「上」に異変が現れます。

その異変が、生命の中心 (バイタル) 付近に現れると、脳梗塞です。
中心から少しそれたところに出ると、緑内障とか顔面神経麻痺とか顔面痙攣とか高血圧とかになります。

▶大自然との対比

“気が上に上る” と言っても、これらは激しい上り方です。上昇気流のように風が吹き荒れます。こういうのを「内風」といいます。風はデタラメに吹きますね。

上昇気流の原因は、地表や海水の「熱」です。温度が高いと上に向けて風が吹きます。
人体でも、邪熱が内風の原因になります。

激しい風の代表は台風ですが、海水温上昇 (邪熱) が湿気 (痰湿) を伴って上昇気流 (内風) と共に上昇し、空を曇らせます。

脳梗塞は気が上って陽が上に突き上げ、脳という大きな空を曇らせ、光を閉ざしてしまったもの。
緑内障は気が上って陽が上に突き上げ、眼という小さな空を曇らせ、光を閉ざしてしまったもの。

そう考えると分かりやすいかも知れません。

そういう “空” のことを、清竅、あるいは清空といいます

清竅って何だろう
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▶緑内障の原因

▶緑内障の基本病理

熱の原因はストレス、食べ過ぎです。怒りや、甘いもの・脂っこいものは特に熱に変化しやすいです。
また、虚の部分は弱りですので、強 (し) いて力んで頑張りすぎたり、動きすぎたり (労倦) は避けるようにします。

恚怒氣逆.上而不下.則傷肝.
飮食勞倦.則傷脾.
久坐濕地.強力入水.則傷腎.
<難経・四十九難>

というわけで、脳梗塞と緑内障は病因病理が同じで、程度が違うだけ、と考えていただくと分かりやすいと思います。

脳梗塞…東洋医学から見た原因と予防法・治療法
生命を物質的にではなく、機能的に見る東洋医学の視点は、脳梗塞を「気の上衝」と捉えます。まるで台風のような上昇気流に、飲食の不摂生などで形成した「痰湿」が巻き上げられ、生命の天空とも言える頭部を犯すのです。その予防法を探ります。

緑内障の西洋医学的病理は、視神経が損傷されることによる視力の障害です。具体的には眼圧が高くなることによって視神経が圧迫され、損傷を受けます。眼球は房水と呼ばれる水で満たされていますが、その水圧が高くなることが眼圧が上がるということです。
気が上に昇ること (内風) によって眼圧が上がる場合と、その上昇にともなって水 (痰湿) が持ち上げられて眼圧が上がる場合を考えればいいでしょう。
筋トレのやり過ぎで眼圧が上がったり、水の飲み過ぎで眼圧が上がったりします。

▶正常眼圧緑内障

「風」は上っ面を気ままに遊走しますが、そういう性格は、土台がないことから来ます。上に昇りやすいのも土台がないからです。シッカリした土台を持ちながら、吹き渡る風のように自由に生きる。そういう「風」ならば回りの良さ (正しい疏泄) であり、正常です。

土台というのは陰 (血) です。土台とは燃料のようなもので、これが少なくても車は走りますが、いつどうなるかわからない不安定さがありますね。

この陰 (血) を激しく消耗する土台が現代社会にはあります。眼の使いすぎ・夜ふかしです。人類の歴史は数百万年とも言われますが、これほど目を使い、夜に活動する時代があったでしょうか。特に、夜ふかしは何かを見ていることが多く、目を使っています。夜は目の活動を止め、陰 (血) を補充する時間です。かつての人類は、否が応でも夜は目を休めていました。中医学の “病因” に太字で付け加えるべき内容です。

陰 (血) の弱りは、脳梗塞の原因にもなるし、目にも影響しやすくなります。これも緑内障の病因病理に私見として付け加えておきます。血虚は、陽亢に至っておらずとも視野障害の原因になるということです。

正常眼圧緑内障は緑内障全体の7割を占め、眼圧が高くなることによる緑内障はむしろマイナーです。眼圧は強くないのですが視神経が弱いため、通常の眼圧であるにもかかわらず視神経がダメージを受けてしまいます。西洋医学的な治療方法は、眼圧を下げて視神経を守ることです。
東洋医学的には、視神経の弱さは正気の弱さと考えればいいでしょう。眼圧は痰湿などの邪気と考えればいいです。すなわち正虚邪実です。正気を強くすることで邪気の矛盾を消すのです。

無症状が特徴

緑内障は痛みや充血など、自覚症状が出ません。視野が欠損があってすら、それに気づくことなく、いきなり失明します。視神経が圧迫されて機能しなくなってきていても、何も感じない。

この辺は、脳梗塞と非常に似ていますね。動脈が干からびたゴムのように硬くボロボロになっていても (動脈硬化) 、それに気づくことなく、いきなり脳の血管が機能しなくなります。

本当は体が悪いのに、スムーズに日常生活ができてしまう状態を、疏泄太過と言います。つまり、スピードオーバーの状態です。時速40km制限の道で、70kmを出せば危険です。危険ですが本人は危険と感じず、むしろ快適 (スムーズ) にすら感じてしまいます。このスムーズさは、誤ったスムーズさです。そういうものを疏泄太過と言います。

気と血の関係…疏泄太過を考える
気は動でありハツラツさです。 血は静であり落ち着きです。 気と血は陰陽関係で、男女のように引きつけあい、抱き合う関係です。この抱き合った気血のことを単に「気」と表現することもあります。いわゆる「気一元」です。
高齢者の頻尿… “疏泄太過” の手引
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    日光アレルギーとの関連

    ご質問の “日光アレルギー” は、皮膚炎ですね? アトピーと同じように考えるといいと思います。アトピーの原因も、熱・内風・気の上昇です。

    アトピー性皮膚炎…東洋医学から見た4つの原因と治療法
    アトピー性皮膚炎の特徴は、赤い皮膚の炎症です。東洋医学ではこれを「熱」と表現します。熱は、火をイメージすると分かりやすく、赤くて熱いものです。もう一つの特徴である痒さ、これを「風」と表現します。風邪 (ふうじゃ) ともいいます。

    アトピーは陽亢とは言いませんが、陰(血)の弱り、陽の過亢進があります。

    そもそも日差しのあるところに出て症状が悪化するというのは、陽気 (日光) を受け止めるだけの陰血 (夜の安静) がないということです。また、もともとある邪熱を日光が助長するという側面もあります。

    ただし、かゆさは自覚があります。自覚がないよりもウンとタチがいいと言えます。

    緑内障は無症状なので、 “スムーズに” 進行します。しかしアレルギーは症状があるので、悪化するたびに立ち止まって原因を考えることができます。その原因は緑内障の原因と同根なので、原因を改善できれば緑内障の治療にもつながります。アレルギーの原因を改善することなしに何らかの方法で消してしまうと、緑内障のスピードを止めることは難しくなります。

    まとめ

    風はデタラメに吹きます。どこに吹くかで皮膚炎になったり、緑内障になったりします。両者とも、紫外線という刺激は引き金になるかも知れませんが、これは第二義的です。

    火薬は、邪熱と痰湿です。火薬の除去こそ原因療法です。

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