月経前緊張症 (PMS) と目

生理の度に悪化する。とくに生理の後半の方が、体調が悪くなっていた患者さんである。

生理前や生理前半で体調が悪化する場合は、正気 (体力) も邪気 (体力を邪するもの) も強いことを意味する。しかし、生理後半で体調が悪化する場合は、生理によって正気が漏れていることを示すため、症状は深刻で治すのが難しい。

生理後半の症状は、脾の不統血によるもので、隠白に反応が出るのが特徴である。この患者さんは治療をよく継続し、生理後半の症状は、ここ半年ほど出ていない。つまり隠白に反応が出なくなったということだ。

舌を診る。舌尖が、いつもより苔が少なく紅い。
邪熱を疑い、後渓などを診るが反応なし。
右神門に虚の反応。これは血虚を示す。とくにメンタル (考えすぎなど) にかかわる血虚の可能性が高い。これが問題だ。

前回の治療は3日前で、もうすぐ生理だと聞いていた。このとき、三陰交を診たが実の反応がなかった。ここのところ、PTAの役員の仕事が負担で、血を消耗していたので、生理間近なのに、生理のための「血の余り」ができていなかった。このままで生理が来てしまうと、体力が奪われる。血を増すため、目を使うことを控えるよう、生理に間に合わせるために指導していた。

今日はどうか。もう28日目だが、まだ生理は来ていない。

神門が虚しているということは、三陰交に実がない可能性が高い…。
三陰交に触れてみる。案に相違して、実の反応がある!

隠白は? 大丈夫だ。
生理が来ても正気は漏れない可能性が高い。

では、神門の虚の反応は何を意味する?

「この3日、よく気を付けたなー。 生理はいつ来てもいいですよ。…で、調子はどう?」
「体調はいい方なんですけど、今朝から右目が乾いて痛いんです…。」
「PTAは一段落ついた?」
「ハイ、次は2か月ほど先です。」
「うーん、なんか気を使うようなこと、ない?」
「明日、親戚で集まるって話があって、それが…。」
「気が乗らないか…。いつもそれで症状が出るもんね。で、それを気にし出したのはいつ?」
「昨日くらいからです。」

生理はダムの放水のようなものである。一定の基準以上の水量を確保して、過剰分を放水する。そのダムに2つの予期せぬ「穴」が開いていて、そこから水が漏れている。

ひとつは目。
ひとつは気の使い過ぎ。

「気の使い過ぎは、これは仕方ないな。コントロールできるものではないから。でも目の使い過ぎはコントロールできるでしょ? 閉じようと思えば閉じれるからね。体はいま、右目をつらくさせて目を閉じさせそうとしてる。目を閉じていると目が痛くなくなるだけでなく、それで穴が一つふさがって水が漏れなくなる。気の使い過ぎでもう一つの穴から水は漏れてるけど、一つさえふさげば、生理のための水量は維持できると思います。だから今日は家でゆっくりして、目が痛かったら目を閉じていてね。」

血虚証 をご参考に。

目という「穴」を閉じるのである。

下手に目の乾きを消してしまうと「穴」がふさがらない。神門の虚・三陰交の実は、目を閉じるという条件があるならば生理が正常に起こせる…という「2つのサイン」が同時に出ているものと見た。

右滑肉門に2番鍼。5分置鍼し、抜鍼後10分休憩させる。

3日後、来院。
右神門・隠白ともに反応なし。

「目の痛みは、治療した日は気になっていて、できるだけ目を閉じていました。翌朝はもう痛みはなかったです。その日に親戚の集まりがあったんですけど、いつもなら吐き気や頭痛が起こるんですが、何も起こらなくて楽しめました。」

親戚の集まりの翌日、生理がきた。その日は頭が痛くなったが、夕方から楽になった。その翌日、診察。今日も楽とのこと。

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