股とは、髀とは

股と髀とは同じです。

“髀、股也”《説文解字》 
“髀,股也”《類経》

「股」とは、基本義は、両大腿部を意味する。意義展開して、二股になった部分のことも言う。よって股ぐらを意味する。
“膝上曰股,膝下曰胫” 《论语·宪问》
“股,支别也” 《汉书·沟洫志》
“股,大腿也,一曰髀内为股”《類経》
股に関しては、《内経》を読むに当たっては、これでだいたい行けると思います。

問題は「髀」です。

《内経》では、「髀」のつく単語が複数出てきます。髀枢・髀厭・髀陽などがあります。

  • 髀枢・髀厭… 髀枢は髀枢骨とも言われ、大転子を意味する。髀厭も大転子を意味する。環跳穴を意味することもある。
    “髀厌分中,谓髀枢骨分缝中,即足少阳环跳穴也”《類経》
  • 髀陽… “髀阳,髀之外侧也。”《類経》

このように「髀」は、上記の場所に大転子も含め、かなり広範囲です。髀枢や髀陽など、場所がハッキリ特定できればいいのですが、単に「髀」と言われるとボンヤリしてどこを特定すればいいのか分かりづらいですね。
こういうものは解剖学的にとらわれずに、機能的に考えることによってハッキリする場合があります。張景岳《類経》の霊枢経筋篇、愚案を参考にします。

其所結所盛之處,則惟四肢谿谷之間為最,以筋會於節也。《類経》

この一文の言いたいところは、筋において、関節こそが気血のもっとも集まる場所であるということです。

前陰者,宗筋之所聚,此又筋之大會也。《類経》

その関節の内、もっとも気血が集まる大関節は股 (前陰部) です。 >> 図を参照

一身之筋,又皆肝之所生,故惟足厥陰之筋絡諸筋,而肝曰罷極之本。《類経》

股 (前陰部) こそが罷極 (だら〜;ピンッ) の元締めであり、だからこそ前進の筋肉は弛緩・収縮できるのです。罷極のもとは肝です。

つまり、股 (髀) とは、肝が主管するところの人体でもっとも大きな関節のことです。もちろん私見です。髀に関して、どの説明を見ても僕が納得できるものはありませんでした。なので、僕が納得できる髀を僕が考えたということです。もちろん古典の考え方に従って。

まとめます。

「髀」とは、上は関元 (腰仙関節・仙骨) から、下は大腿部、横は大転子までの二股部分 (大関節) のことを言う。その中心に存在するのは前陰部である。

「髀」という単語が出てくれば、宗筋 (筋の大会) を重ねつつ読むと理解が深まるかも知れません。

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