䪼 (セツ) とは・顴 (ケン) とは

《霊枢》では、䪼セツと顴ケン (顴髎) の場所を分けています。ここがポイントです。
顴髎とは「顴の空隙」という意味です。では、顴とは何でしょう。

顴。䪼也。《広雅》

䪼。…面顴也。《集韻》

目下為䪼。《類経・霊枢経脈篇》

目下曰 ,即顴也。《類経・霊枢経筋篇》

また現代中国語では、日本で言う解剖学的な頬骨のことを、顴骨と言います。
以上のように、䪼も顴ケンも頬骨部を指し、同一とみなされます。

以上を総括し、また下記《霊枢》の記載、さらに《類経》の解説から、《霊枢》における䪼は頬骨の上部を指していると考えられます。

《霊枢》にある「䪼」です。

小腸手太陽之脉.…其支者,別頰上䪼抵鼻,至目內眥 ,斜絡於顴。《霊枢・經脉10》

【訳】その支脈は、にて別れ、䪼を上り、鼻に抵 (あた) り、目の内眥 (めがしら) に至り、斜めに顴を絡 (まと) う。

上記《霊枢》の解説が、以下の《類経》です。

目下為䪼。目内角為内眥 。顴,即䪼骨下顴髎穴,手太陽自此交目内眥,而接乎足太陽経也。䪼音拙。顴音権。《類経》

【訳】目の下を䪼となす。目の内角を内眥 (めがしら) となす。顴とは、すなわち䪼骨の下、顴髎穴である。手の太陽小腸経は、ここより目の内眥に交わり、足太陽膀胱経に接続するのである。䪼はセツと発音する。顴はケンと発音する。

 〇

またドラマがありました。鼻の奥にできたガンなのですが、初診の診察中にガンの塊が崩壊し、大量の血を排出したのです。口から一気に吐き出しました。

黒っぽいレバーのような血塊がまず出て、そのあと真っ赤なモズクのような血塊が、計量カップ3杯は出たでしょうか。その後、頭蓋骨まで達していた圧迫感が半減します。体がガンを押し出したのです。

こういうことが僕の臨床ではチョクチョクあります。なぜこうも起こるのかはよく分かりません。理論上は分かるのです。瘀血・痰湿・邪熱・気滞が取れた。しかし、理論では何とでも言えても、こういうことは実際にはなかなか起こらないものです。

理由はいろいろあると思いますが、まあどうでもいい。僕は今までどおり基本をやるだけです。本ページのような、おそろしく即応性の無いもの、しかし基本 (経絡学) を学ぶためには知らざるべからざるものを。

基本をやるといっても、現代人が日本語訳したもので勉強しても、その人のレベルにしかならないので、僕はそこに価値を感じません。

原典の作者と直接向き合う。そうしなければ腹の虫が承知しないのですね。そのためにも、作者が「漢字」をどういう意味で捉えていたのかが知りたい。作者は数千年前にこの世を去っておられるので、聞きようがありません。だから調べる。追求する。本ページのように、深く深く堀り下げる。

深く掘り下げるという実践 (実際の行動) の積み重ねが、ガンのような深い病に、そのガンの場所にまで達して除去するという「実際の結果」として現れているのかな…などと思いはします。

しかし、それもどうでもいい。やりたいようにやっているだけなのですから。

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