こむら返りには〇〇が効く

芍薬甘草湯、波動で効くので飲んでしまうのもったいないのでパッケージを体に貼る。
睡眠時のこむら返り対策には寝床に芍薬甘草湯を!

上記投稿をいただきました。以下、これに対する僕のコメントです。

こむら返りには本当によく効きますね。頓服的に著効があります。たとえばゴルフ中に足がつったら、その場で頓服すればその場でおさまるなどです。

へえ、体に貼っただけで「明け方のこむら返り」の予防になるのですね。以前にも同様の投稿がありました。いわゆる波動医学で、漢方薬を適当に体のどこかに貼り付けたら、その場で痛みが止まるというものです。漢方薬を飲んだら減りますが、貼るだけなら減らないので何度も使え、経済的で便利ですね!

でも僕は、こういうことを実験したことがありません。そして、これからも実験するつもりはありません。

症状を消すことが「体にいいこと」とは限らないと思うからです。

ぼくは、病気の「原因」を重視します。 >> 中医学における “病因” とは
こむら返りは「結果」です。原因を改善せず、結果だけを操作するのは、まるで粉飾決算ですね。赤字という結果をどうにかすることではなく、赤字になった原因をどうにかすることが正しい経営です。分かりきったことが分かっていません。

鍼灸や漢方薬ほどの「優れた」方法ともなると、こういう使い方も簡単にできます。
アインシュタインほどの「優れた」頭脳ともなると、核爆弾など簡単に作れるのです。核爆弾は、消したいと思うものを消し去ることができるでしょうが、だからといって使っていいものではありません。

だから、こういう考え方はダメ。

中医学では、明け方のこむら返りは「こむら (腓腹筋) 」に問題があるのではなく、「体」に問題があると考えます。体に問題があるのは、これまでの「生活の仕方」に問題があるのです。生活の仕方に問題があるのは、そういう行動をしようと思う「心」に問題があるのです。

原因をとことん追求すると、「心」 (考え方) に行き着きます。

何かを刺したり飲んだり貼ったりしたところで、この原因が改善するでしょうか。原因が継続するならば、こむら返りがなくなっても、別の形で異変が現れる。こうやって病気というのはこじれていき、ちょっと休んだくらいでは治らない重病となるのです。体は、最初はちょっと休んだだけで治るように症状を出してくれています。それを小賢しく操作して消したりするから、不治の病と姿を変えるのです。

こういう使い方を「病名漢方」といいます。こういうのは弁証とは言わず、中医学とは言えません。本来の東洋医学とは、もっと格式高く、もっと根本を見つめて治療するものです。それが理想論ではないことを、僕自身の鍼灸臨床で見届けています。同じ中医学を土台とするならば、漢方薬でもできるはずです。

まずは、自分のこむら返りがなぜ起こるのか、そのメカニズムを学び明らかにすることが必要です。つまり、こむら返り (痙病) の病因病理を勉強する。様々なタイプがあります。そのなかで、自分のこむら返りがどれに当てはまるのかを考える。これが弁証です。これが抜けていれば、中医学 (弁証論治) として致命的であると思ってください。

夜から明け方のこむら返りについては、ブログ (けいれん…東洋医学から見た6つの原因と治療法) にまとめています。https://sinsindoo.com/archives/cramps.html#夜のこむら返り

邪熱・気実血虚・寒邪・痰湿などが主な原因になります。この「けいれん」のページ、読むのは簡単ではありませんね? 方法なら一言で片が付きます。しかし、病気を本当に理解するには、このように根気よく勉強することが必要となります。そう、治療というのはそんなに簡単なものではない。

しかも、まだ終わりではありません。これが真の原因ではないのです。

これら邪熱・気実血虚・寒邪・痰湿の原因を生み出す原因となった、自分の「生活の仕方」とは?  

たとえば。

たとえば、痰湿が原因で明け方にこむら返りを起こしているとします。痰湿の原因が食べ過ぎであったとします。ところが、食べ過ぎとこむら返りはつなげて考えにくいですね。こじれた病気になればなるほど、つなげにくくなります。ガンともなると、食べ過ぎたらから大きくなったんだとは、分かりづらい。

ふつう、食べすぎがあれば、まず胃もたれになります。これならつなげやすいですね。しかし、この胃もたれを何らかの方法で口封じをした。すると、食べすぎはマシになるどころか、むしろもっと食べすぎるという現象が起こります。食べすぎても胃もたれしなくなるからです。すると痰湿は? 痰湿は、もっともっと蓄積される。

痰湿は中性脂肪・脂質異常症・高血糖などの原因になります。口封じをされた体は、水面下で、ある臓器を蝕んでいきます。 “沈黙の臓器” 肝臓です。どのように蝕むのか? それが “脂肪肝” “肝臓の線維化” です。こういう病態が、ガン (肝臓がんのほか、胃がん、すい臓がん、肺がんなど) ・脳卒中・心筋梗塞・アルツハイマー病の原因になるということが、近年の研究で明らかになりつつあります。これらの病気の最大の特徴とは、無症状で水面下で進行するということです。
https://sinsindoo.com/archives/liver-collabo.html#脂肪肝はあらゆる病気の原因

症状がない。
症状が消えている。
症状が出てくれない。

理解できるでしょうか?

みんな後戻りできない病気です。

食べすぎによる痰湿が原因のこむら返りであるならば、食べすぎを治していかなければならない。それがどうしても治らないなら、心に問題があります。食べないと、ホッとできない。食べないと、イライラする。これは心に深く深く強固な「緊張」があるからです。

この緊張を解くには、考え方から治していく必要があります。

どんな「考え方」をするべきなのか?

それに気づきを得たとき、そこではじめて「根治」です。

そして、それを学ぶのが、このグループの目的・目標です。

そして、そういう心に落ち着くためのツールとして、鍼や漢方薬を使うのです。これが正しい使い方です。

●●には〇〇が効くよ…このような「短くて済む文章」によって、いったい何人の人が、
・心を改めず
・生活の仕方を改めず

消えるからといって、楽になるからといって、気持ちいいからといって、クセになるまで同じ方法を毎日シコシコ繰り返し、もう後戻りのできない「崖っぷち」に追いやられてきたのでしょうか。
https://sinsindoo.com/archives/winter-illness.html#崖っぷち

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