五行の相生、金生水がわかりません

メンバーA

質問です。
先日、気と血水について質問させていただいた者です。
今度もまた基本中の基本の質問です。
(理解能力低くてすみません)
相生についてです。
木→火
火→土
土→金
水→木
はすごくイメージもできますし、相生の意味通りに助けて生み出すということになると思います。
ですが
金→水
だけ、どうしてもイメージできないし理解もできません。
このグループの過去の五行についても拝見し、色々調べた中に「金が冷えて水滴が付く」と書いてあるものもありますが、それだと次第に金属は錆びてしまい、相生の意味に反することになると考えます。
金→水は、どうイメージすれば、理解すればいいでしょうか?
急ぎませんので、ご教授いただけますと幸いです。
よろしくお願いします。

メンバーB

「金が冷えて水滴が付く」というのは私もずっと納得できずにいました。無理矢理、金と水を繋げている感じがしてしっくりきません。

回答者 (上)

いいご質問ですね。このグループでやろうとしていることです。でもこういう質問はなかなかないですね。立ち上げてもうすぐ一年になりますが、お二人目ではないでしょうか。
まず、五行は中医学ではあまり重視しません。ですから、相生相剋も “いいとこ取り” をするもんだと思っておいてください。中医学ではこだわらない、ということです。
しかしぼくは、木火土金水それぞれの性質・性格を知ることが、五臓六腑の弁証のために、あるいは表証 (五運六気) の弁証のために、絶対に必要であると考えています。
ご質問に対する納得のいく答えは、どの成書にもない… と、ぼくは思います。それほど五行というのは奥が深い概念です。
「金が冷えて水滴が付く」という説明は、ぼくがしたものではありませんね? こういう説明をするから東洋医学は荒唐無稽だと言われてしまうのです。
まず、金性は五行の中でもっとも難解な概念です。だからココでつまずくというのは、真面目に勉強されている証拠です。つまずかない人は、もっとちゃんと勉強したほうがいいということです。
金性は、 “従革” です。金属ではありません。いや、金属も、金性と言うくくりの中で説明はできます。しかし、金性=金属 で理解してしまうと小さい理解となり、説明も馬鹿げたもの (臨床で使えないもの) になってしまいます。
Aさんが、どこまで理解されているのか測りかねています。

>> 木→火 火→土 土→金 水→木 はすごくイメージもできますし、相生の意味通りに助けて生み出すということになると思います。

これをどんなふうにイメージされているか、教えていただけませんか?
最初から深い理解は難しいかもしれせんので、そのレベルに合わせて説明したいと思います。

メンバーA

早急なご返信ありがとうございます。
水滴の件は、Web上の他サイトです。
上先生のHPでもありませんし、
こちらのグループでもそういう内容は
一切ありません。
さっそくですが本題にまいります。
私の中のイメージは
⚫︎木→火
木は火を生み出す
木は火で燃える
⚫︎火→土
火は燃えおわると灰となり土へ帰る
⚫︎土 →金
土の中の物質が堆積し繋がりあって
結晶となり金属ができる
⚫︎水→木
木は水があることで育つ
増水は木によって防がれる
(災害のイメージ)
です。
こういうイメージで飲み込もうとするから、金→水が理解できないのでしょうか?
P.S.私が五行をしっかり学ぶ理由は薬膳を勉強しているからです。

回答者

薬膳も臨床の方法論の一つですね。
また、薬膳は中医学に基づいたものであるという認識を持っています。その前提でいきます。
中医学では、
⚫︎土→金 …脾気虚→肺気虚 (ハアハアする)
肺を補うためには脾を補う。脾は気血生化の源。
⚫︎水→木…肝腎陰虚
肝陰 (肝血) を補うためには腎陰 (腎精) を補う。肝腎同源。精血同源。
このあたりは中医学で、説明しやすくするために使っているのをよく見かけます。
しかし他のものは、臨床で合わないためか見かけません。無理にこじつければ…
⚫︎火→土…命門 (腎陽)→脾陽
脾陽を補いたければ、腎陽を補う。
⚫︎木→火…肝鬱→化火
肝の邪気は邪熱を生む
ということも言えますが、こういうことは五臓六腑の生理病理を勉強したほうが、五行を勉強するよりも、臨床に即した学習ができます。
それは横に置いといて…。
五行は生長収蔵、あるいは生長化収蔵という概念の中で大きな意味を持ちます。このなかに相生関係 (無限のサイクル) があります。
生長収蔵、こういう言葉はご存知ですか?

メンバーA

存じあげなかったので調べました。
まとめると、
生(ずる)=春
長(ずる)=夏
収(める)=秋
蔵(かくす,かくれる)=冬
ということでしょうか?

回答者

そのとおりです。
木性=生 たねまき
火性=長 成長
金性=収 開花・結実・収穫
水性=蔵 貯蔵
稲の一年をイメージしてください。

https://sinsindoo.com/archives/5elements-health.html

土がありませんね。土は “土性 ” ともいわれますが、 “土徳” が正しいです (書経) 。土は特別です。生長収蔵は土の上に存在するからです。土とは大地、地球のことです。
地球の上に “植物” がある。それは生長収蔵というサイクルをもつ命であり、食材となって人間の命のもとにもなる。
地球の上に “人間” がいる。それは生まれ、成長し、大成し、そして死んでゆく。死 (蔵) は、イコールまだ見ぬ子、つまり胎動でもあります。それが次なる “生” を生んでゆく。
木性=東
火性=南
金性=西
水性=北
土は “中央” である…というのはご存知ですか?
本来は木火金水 (東南西北) だが、中央の “土” をこの文字列に無理やり入れるとするならば、
木火「土」金水
となります。
これが生長「化」収蔵です。
化とは変化のことで、生長収蔵の移り変わりすべてを意味します。
ここまで、何らかのご質問があると思います。言っていただけると会話が弾んでありがたいです。

メンバーC

脾に関しましては上先生のブログのこちらの記事が大変わかりやすかったです!

https://sinsindoo.com/archives/earth-important.html#toc3

肺に関しましてはこちらも読みました😆

https://sinsindoo.com/archives/lung.html

私にとって肺は磁石と傘のイメージです。まだまだ勉強中ですが、「気」への理解は「肺」の理解度と比例するのかなと勝手に思っています。

回答者

メンバーC さま
磁石と傘とは意味が深そうですね。
説明していただけるとありがたいです。

メンバーA

上雅也 さま
ありがとうございます☆
土が真ん中、というお話でかなりわかるようになってきました。
それから木火土金水を、
日本語で使われている意味でイメージし理解しようとするから、金水がわかりづらくなるのかなと思いました。
生長収蔵にあてはめると、自分がイメージしていたものと違いますし、またそれぞれが綺麗な円を描くイメージもできました。
金→水の相生は、
収穫して蔵へ貯える
というイメージでしょうか?
あと、メンバーCさまがご紹介くださった上先生のblogの中の「金」について拝読しました。
そこに、金=天空とありましたが、
天空から雨が降る=水になる
というイメージでもいいのでしょうか?

回答者

メンバーAさま

>> 日本語で使われている意味でイメージし理解しようとするから、金水がわかりづらくなるのかなと思いました

そのとおりです。
前提として大切なのは、東洋医学は農耕文化の中から生まれた、ということです。暦の発達も農耕のためです。農耕で一番中心になるのは稲です。
五行をさかのぼると、書経にたどり着きます。
水…潤下
火…炎上
木…曲直
金…従革
土…稼穡
以上の意味を理解することが必須です。
水火木金土の順番になっていますね。これは宇宙が “潤下” というひとしずくのものから始まり、それが膨らみ拡大して、 “稼穡” という完成を見るまでの過程です。稼穡とは稲の種まきと収穫のことで、土のことです。
宇宙 (地球) =土 が完成した後は、その土を中心に、木火 (土) 金水というサイクルが回り続けます。

https://sinsindoo.com/archives/five-elements.html

>> 金→水の相生は、収穫して蔵へ貯える、というイメージでしょうか?

そのとおりです。金色の稲穂が高いところ (天空) から下に下に垂れ下がり (粛降) 、やがて土にとどいて地中深く潜み春の芽吹きを待つ、ということです。
水というのは一番下 (下焦・腎) にあって、命の源 (潤下) を示します。もちろん、天から降ってくる雨という捉え方もできますが、これはどちらかというと粛降 (肺金) でしょうか。
・水火木金土 (宇宙の誕生)
・木火金水 …土を中心に… (生命の無限ループ)
を見てきましたが、暦も大きく影響します。
これは木火土金水です。生長化収蔵でもあります。
地の木 (天の風) …春
地の火 (天の熱) …初夏
地の土 (天の湿) …梅雨+盛夏
地の金 (天の燥) …秋
地の水 (天の寒) …冬
ここまで、ご質問があればお待ちしております。

https://sinsindoo.com/archives/unbyo.html

メンバーC

あくまでも機能を覚えやすくするためのこじつけのようなイメージになります。
肺は「五臓の内で一番上にあり広がっている+気と呼吸を司っている」という事から、他の4つの臓を傘の様に雨(外邪)から守ってくれているというようなイメージです。宣発と肺主気をまとめて覚えられます。
また、肺は腎や膀胱とタッグを組んで呼吸や不要な水液を下におろしてくれるので、それを私は磁石に例えて覚えています。腎が肺から引っ張るというか、引きあうと言いますか。
全然深くなくてすみません。

回答者

よく勉強されていますね。立体的な理解ができています。
傘でバッチリです。これはよくされている説明です。

肺者五藏六府之蓋也.<霊枢・九鍼論 78>

とあるように、肺はフタです。仏像のうえに、豪華な傘があるのをご存知でしょうか。これを “華蓋” といいます。胸に華蓋というツボもあります。

平等院鳳凰堂・阿弥陀如来坐像

傘で外邪から身を守る…も正解です。それともう一つ、煮炊きものをすると、フタの内側に水滴が付きますね。それがポタポタ落ちてくる。フタ (傘) にはそういう意味もあります。
これが天空です。天はドーム型になっていますが、本当に傘なんです。宇宙には幕 (ビニール) のようなハテが存在する…数学者は、真剣にそう考えています。傘はピンと張るとビニール部分が固くなりますね。これが従革の “革” です。固いのは金の本質です。
磁石はわかりやすいですね。しかし、引き合うというよりも、やっぱり腎が引っ張っているのです。腎は地球の引力です。
稲で考えてみます。
出穂は、稲の一番高いところに現れますね。肺 (金) にはこういう “軽くて高い” という意味があります。これが従革の “従” です。高貴だ、と言われるのはこのあたりです。宣発はこれで説明します。
そのうちだんだん稲が実り、稲穂が垂れてきます。この時、本当に稲穂は金色になります。このように金は形体を形作るとともに、重くなる性質があります。これが粛降です。

水蒸気は軽く、ナベブタのところに集まると、形体 (水滴) をなし、やがて重くなって落ちてくる。もちろん、地球の引力も働いて。
“引き合う” というよりも、肺金は自らに重みがあり、腎の引力と共同して粛降が起こっているということです。肺はこれ以上ない高いところにあるので、もう下に降るしかありません。
物質的なものはみな重いですね。これが金属的な物…物質・重さを表します。
でも、さっき “軽い” といったのに、 “重い” とはどういうことでしょうか。軽い (従) ・重い (革) は陰陽で、2つ揃って1つです。
軽い重いのあるもの…これってなんでしょうか? 物質ですね。そういうものを金というのだ、ということでしょう。
金には、物質的、表面的、機械的、お役所的…という側面があります。おカネもそうですね。こういう理解が臨床で応用されます。
それから、実はその傘は、上にあるだけでなく、人体を一つのフクロで覆うようにかぶさっています。ここから、肺は全身の物質組織をフクロで覆うようにまとめ上げ、統治するという意味が生まれます。これが皮膚 (皮毛) です。
地球も空は上にだけあるのではなく、八方から空に覆われていますね。
そういう風船みたいな幕で覆われ、しぼんだり (物質・革・陰) 、膨らんだり (空間・従・陽) している。
これが “肺は気の本” といわれるゆえんだと思います。

肺者.氣之本.<素問・六節藏象論 09>

メンバーC

内容が深すぎて驚いております。図を書きながらじっくり読まないと理解できそうにありません。
ありがとうございます。早速やってみます。

メンバーA

私もです。
とりあえず書き出して頭で整理しないと、質問すら浮かんでこない状態です。

 

まとめ

中医学では陰陽は重視しますが、上記したとおり、五行は重視しません。基礎理論では五行を取り上げてはいます。

しかし診断学や弁証施治 (臨床) では、五行の引用はまれで、特に「金」に関しての論説は僕が知る限りで皆無です。相手にされていない。荒唐無稽に陥るからです。後人がコジツケて机上の空論にしてしまっているからです。金が金属とか鉱山とかいうものが、臨床に役に立たないから用いられなくなった。長い歴史の中で淘汰されたのです。

中医学を学ぶグループとしては、これが前提です。

しかし《書経》にまでさかのぼり、字源字義をもよく調べてみると、木火土金水の意味が、現代人が持っているイメージとは大きくかけ離れたものであることが分かります。そうやってイメージし直すと、なぜ五行というものが昔から重視されてきたのか、ということがよく分かります。みんな五行の「本来の意味」を忘れてしまったのですね。

「本来の意味」とは、中国伝統医学のオリジンそのものです。それを知ることは、小乗的 (実用的・方法論的) には使えなくても、大乗的には「本来の意味」を体得する必要がある…というのが僕の考えです。

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