東洋医学の五行「木火土金水」って何だろう

肝は木、心は火、脾は土、肺は金、腎は水 …にそれぞれ配当されます。

東方青色.入通於肝.開竅於目.藏精於肝.其病發驚駭.其味酸.其類草木.…
南方赤色.入通於心.開竅於耳.藏精於心.故病在五藏.其味苦.其類火.…
中央黄色.入通於脾.開竅於口.藏精於脾.故病在舌本.其味甘.其類土.…
西方白色.入通於肺.開竅於鼻.藏精於肺.故病在背.其味辛.其類金.…
北方黒色.入通於腎.開竅於二陰.藏精於腎.故病在谿.其味鹹.其類水.…

素問・金匱眞言論04

五行と言えば、相生・相克ですね。これはいろんな方が詳しく説明しておられるので、それをご参考にされるといいと思います。

ここではもっと基本的なことに立ち戻ります。木火土金水それぞれが持つ性質です。これを、臨床に沿う形で展開していきたいと思います。参考にしたい文献は「書経」です。

一、五行。

一曰水、二曰火、三曰木、四曰金、五曰土。
水曰潤下、火曰炎上、木曰曲直、金曰從革、土爰稼穡。
潤下作鹹、炎上作苦、曲直作酸、從革作辛、稼穡作甘。

此下九疇之目也。水・火・木・金・土者、五行之生序也。
天一生水、地二生火、天三生木、地四生金、天五生土。
唐孔氏曰、萬物成形、以微著爲漸。五行先後、亦以微著爲次。
五行之體、水最微爲一、火漸著爲二、木形實爲三、金體固爲四、土質大爲五。

潤下・炎上・曲直・從革、以性言也。稼穡、以德言也。
潤下者、潤而又下也。炎上者、炎而又上也。曲直者、曲而又直也。從革者、從而又革也。
稼穡者、稼而又穡也。稼穡獨以德言者、土兼五行、無正位。無成性、而其生之德、莫盛於稼穡。故以稼穡言也。稼穡不可以爲性也。故不曰曰而曰爰。爰、於也。於是稼穡而已。非所以名也。

作、爲也。鹹・苦・酸・辛・甘者、五行之味也。五行有聲色氣味、而獨言味者、以其切於民用也。

書經・蔡沉集傳

五行を勉強していると、木・火・土・水は、まあ理解できるのですが、「金」が理解しにくいと感じます。金は金属だけてなく、天をも意味します。その説明が「混じりけがなく純粋」「高貴」であるからだとも言われますが、ぼくはイメージがしにくいと思います。なぜ金のように硬くて重いものが天空を意味するのか。

そこでまず、他の木・火・土・水とも比較しながら、金とは何かを考えてみます。

初心者の方のために簡単に説明します。木火土金水は、この世をつくる五大要素です。命をつくる五大要素でもあります。

  • 木…上に成長する力。
  • 火…熱さ・温かさ。拡大。
  • 土…土・地球・土台。
  • 金…これが分かりづらいので、これから説明します。
  • 水…生命の誕生。

肝は木、心は火、脾は土、腎は水です。詳しく知りたい方は、以下をご参考に。

理解を深めたうえで、五行とは何かをまとめたいと思います。

金とは何か

書経にみる金

書経を見ていきます。金その他をどのように説明しているでしょうか。重要な個所を抜き出して、アウトラインをイメージしてみます。

水曰潤下、火曰炎上、木曰曲直、金曰從革、土爰稼穡。<書經>

水と火は、潤下と炎上、これは陰陽です。
木は、曲と直、これも陰陽です。
金は、従と革、これも陰陽です。以下に展開します
土は、稼と穡、これも陰陽です。稼は種まきのこと、穡は収穫のことです。

潤下・炎上・曲直・從革、以性言也。稼穡、以德言也。<書經>

水・火・木・金は、ここでは性質のことを言います
土だけは徳とあり、別物です。追って説明します。

金は「従革」

さて、上記の書経の文を読むうえで、まったく意味が分からないのが「従革」です。金ですね。まず、字源から調べてみます。

従の字源

従とは。
「从」は人に人がついていくという意味だそうです。「止」は足、「彳」は行、ついていく意味を補足します。

ついていく時は縦列になるので、縦という意味にもなります。

蓺麻如之何 衡從其畝 <『詩経』斉風・南山>
麻を蓺 (う) えるにはどうしたらいいか。その畝を衡 (横) と従 (縦) にする。

よって従は縦に通じます。
縦は「ほしいまま」と訓読します。放縦という言葉がありますね。勝手気ままな様子です。従は放縦であると「礼記」・「礼記正義」に記載があります。

敖不可長.欲不可從.志不可滿.樂不可極。<禮記・曲禮上>
傲.五報反.慢也。…従.足用反.放縦也。<禮記正義>

よって、「従」からイメージできるのは、「自由に行き来できる空間」です。

革の字源

革とは動物の皮をはぎ取って、それを革としてピンと張り伸ばしたときの姿で、象形文字だそうです。
上の「廿」は頭部、下の「十」は尾と足のことです。

衣服なども、着古したものはダラッとしていますが、洗って干すとピンとなりますね。これが改革などの「あらたまる」という意味に通じます。鮮鋭で、ピンと張り詰めた硬さがあるのです。

よって、「革」からイメージできるのは、「ピンとした硬さをもつ物体」です。

宇宙はビーチボール

こんな話があります。宇宙がどんな形をしているか。これを数学的に解こうというのです。位相幾何学では、宇宙がビーチボールのような球形なのか、それとも浮き輪のようなドーナツ形なのか、という議論があるそうです。

どちらにしても共通するのは、中に空気が入っていて、外はビニールで覆われ、中の空間は自由に行き来できるが、外のビニールはピンと張り詰めて硬い…ということです。

これは、この世界の物質的な様相を象徴的に示しています。自由に行き来できる空間と、形のある硬い物質。これによって宇宙は成り立っています。

五行の金とは

我々が地上に立った時、自由に行き来できる空間すなわち「従」が存在しますね。下には硬い大地がある。上には宇宙の果てまで続く大空…その果てにはビニールのような硬い「革」が存在するのです。しかしこれは目に見えないし触れることもできません。

我々が触れることのできる「革」とは…。石・土・鉱物・動物・植物などすべての物質です。これら物質は、相対的に非物質ともいえる空 (くう) すなわち「従」があるから存在しえます。もし革ばかりなら身動きの取れないギューギュー詰めの世界となり、革は認識できません。

従と革は陰陽なのです。従があるから革がある。

金とは、空間 (陽) と物質 (陰) のことです。

東洋医学では金は肺に配当されます。肺金は分かりづらいですが、このように考えると少し理解しやすくなります。

肺は従革

肺は上焦にあって地球で言えば大気に相当します。
大気、すなわち天空は上にあって、青く涼やかに澄んでいますね。肺もそうあれば健全なのです。
地球規模で見ると、大気は地球表面を覆っていて、いろんな有害物質が入らないように守ってくれています。皮膚も同じですね。肺は皮膚を支配します。

肺主身之皮毛.<素問・痿論 44>

その大気とは、金すなわち従革の「従」に相当します。大地に立って六方を眺めると、上は天空でその最果てには宇宙の終点である「革」があり、下は大地で脾臓があります。そして大地のまだずっと下にも「革」があるのです。とすると、立っている場所は上下を分ける境界である「膈」 (横隔膜をイメージ) となります。膈は大地 (脾臓) の上限ということになりますね。膈兪が脾兪胃兪の上限で、痰湿を取るツボであるということと一致します。

皮膚は、宇宙のビニールすなわち「革」に相当します。人体は、皮膚という「革」と、肺という空間すなわち「従」をもった物体であり、これを単純化するとビーチボールのような物体となるのです。

細胞も、細胞膜 (革) で囲まれ、細胞内液 (従) で満たされています。細胞は小宇宙なのです。

このように単純化すると、臓器・血管・筋肉・骨までも、すべて金 (革) に属することになります。肺気の及ばないところはないのです。そして、これは地上の物体がすべて「革」に属することを示唆します。

肺と金 (従革) の関係
  • 天空 = 従の自由な宇宙空間。
  • 粛降 = 革の重さ。
  • 宣発 = 従の軽さ。
  • 通調 = 従 (空気 or 体液) によって革 (ビニール) が張りつめる、その形態の調和。
  • 魄  = 意識できる肉体的・物質的感覚、つまり革。

肺の「治節」とは

肺者.相傅之官.治節出焉.<素問・靈蘭祕典論 08>

治節とは。

治とは、国家などを統治することです。
節とは、規則や制度のことです。

つまり、きちんとした規制という枠組みの中で、組織を堅くまとめることです。かなりお役所的ですね。かたくるしい感じです。これが金という性質…肺です。先ほど言うように、臓器・血管・筋肉・骨までも、すべて肺金に属するのです。人体組織を一つにまとめ上げる力 (通調) です。

治節と通調
通調は、とくに体液循環の調節を意味する言葉として使われます。 “通調水道” などです。しかし、宣発・粛降が体液だけでなく気の昇降も意味するように、通調も気と津液双方に渡る大きな概念で捉えた方が良いでしょう。そういったものの流通を牛耳るのが「治節」です。治節がキチッと行われた結果として通調がうまくいくのですね。

寸口者.脉之大會.手太陰之脉動也.…五藏六府之所終始.故法取於寸口也.<難經・一難>

脈診は手首の橈骨動脈で診ますね。難経では、太陰肺経の脈を「五臓六腑の終始するところ」と位置付けていますが、「金」を深く考察すると納得できるものがあります。

社会という組織には規則があります。規則というかたくるしさ (革) があるからこそ、本当の自由 (従) というものがあります。自由だけを求めるなら、無人島で一人で暮らすしかありません。この社会をストレス社会と見るのか、それとも自由が認められた社会と見るのか、こういう知識があるかないかは大きいです。ストレスを溜めやすいか溜めにくいかは、社会をどう価値づけるかで左右されます。東洋医学を学ぶということは、生き方を学ぶことにもつながります。

宇宙の誕生と完成

類経附翼<河図>
類経図翼

水火木金は「性」

物体と空間。これが金の特徴です。他の水火木土と比較してみましょう。

天一生水、地二生火、天三生木、地四生金、天五生土。
…萬物成形、…五行之體、水最微爲一、火漸著爲二、木形實爲三、金體固爲四、土質大爲五。
<書經>

この「書経」の文は、宇宙の誕生から完成までを示したものです。これは同時に生命の誕生から完成をも意味します。

まず水が生まれます。それは潤いしたたるような水です。

腎臓は「水」 をご参考に。

そして火が生まれます。水は冷たく火は熱い。2つ合わせて温かさです。

次に木 (曲直) が生まれます。これは動きです。腕も曲げ伸ばしで動きますね。動き、そして成長し、形体を作っていきます。

曲がなければ直は存在しません。曲は直のために存在するのです。
これは従がなければ革は存在せず、革のために従が存在するのと同義です。
稼穡もそうです。収穫 (穡) のために種まき (稼) が存在するのです。
水 (静) も、火 (動) を生むための水です。

次に金 (従革) が生まれます。物体です。「体固」と表現されていますね。空間を土台とした物体の完成です。

それらすべてを抱擁するものが土です。たとえば地球は大きな土の塊ですが、温かさ・動き・物体、それら「性質」を、すべてをそこに包含しています。だから「質大」といい、「土爰稼穡」、爰 (ここ) に稼穡あり、というのです。

ここに、大地 (地球) の完成を見ます。

書経を見ると、以下のようにあります。

水曰潤下、火曰炎上、木曰曲直、金曰從革、土爰稼穡。<書經>

その他はすべて「曰」です。性質のみなので実在はしません。土がそれを包含することで、性質 (機能) と物質が顕現するのです。爰 (ここ) で地球が完成し、宇宙が完成します。

稼穡… 土は「徳」

潤下・炎上・曲直・從革、以性言也。稼穡、以德言也。<書經>

徳の字源を調べると、旧字体は「德」で、「彳+㥁」です。
「㥁」は「直+心」です。直き心ですね。
そこに「彳」つまり行いが伴います。

われわれが持つべき心、為すべき行い。つまり進むべき方向のことです。それが稼穡であるという。我々が行うべき「稼穡」とは。

稼とは種まき、穡とは収穫です。のぎへんなので稲をイメージしましょう。

生長収蔵…宇宙の営み

宇宙が完成するまでは水→火→木→金→土 の順でしたが、完成ののちは木→火 (→土) →金→水の順になります。潤下・炎上・曲直・従革・稼穡 という基本を、もう一度思い出しながら分析します。

木火土金水と生長収蔵
  • 木 (春・東・朝) … 種から「 (曲) 」としての真っすぐな芽が出る。…
  • 火 (夏・南・昼) … 「 (炎) 」に伸びる。…
  • 土 (中央) … 「」から「」という変化を支配する。木の中にも変化があり、火・金・水の中にも変化がある。また、木火を陽とし金水を陰とすると、陽と陰の中間で変化を支配している。よって生長収蔵ともいう。土には種子から葉に、葉から花に、花から種に変化させる力がある。
  • 金 (秋・西・夕) … もっとも位置が高いところで出穂し、種が大きくなり、金色の稲穂となって、下に垂れ下がる。「 (従) 」としての物質 (米) ができる。…
  • 水 (冬・北・夜) … 最も「 (潤) 」にあり、種のような静かな状態。…

春生.夏長.秋收.冬藏.是氣之常也.人亦應之.以一日分爲四時.
朝則爲春.日中爲夏.日入爲秋.夜半爲冬.
<霊枢・順氣一日分爲四時 44>

これは、宇宙が完成したのちの、宇宙の営みを示しています。星は今も宇宙のどこかで生まれ、そして消えていくのです。

この営みは、生長収蔵と言われます。稼穡そのものですね。稼穡は土にそなわるのですから、生も長も収も蔵も、すべて土が関わってこれらをサポートします。土は中央にあって、まるで時計の針のように真ん中から四時を動かしているのです。「木火 “土” 金水」で土が中央に位置するのは、こういう意味があると考えられます。

つまり、木火土金水とは生長収蔵です。生長収蔵とは、生まれては消える命の営みです。宇宙の完成を意味する稼穡とは、宇宙の営みでもあり、命の営みのことでもあるのです。それは同時に徳 (持つべき心・為すべき行い) なのです。

人は死んだらそこで終わり…ではありません。死んでなお止まぬ営みがある。前進がある。それが生きるということです。

宇宙完成後の五行

五運六気 (運気論) における木火土金水

地の完成とともに、天が生まれます。地という基準がなければ天 (上) は存在せず、ただの宇宙空間に過ぎません。

そのようにして生まれた天には、厥陰風木・少陰君火 (熱火) ・少陽相火 (熱火) ・太陰湿土・陽明燥金・太陽寒水という形で、潤下・炎上・曲直・従革・稼穡という木火土金水の性質が表現されることとなります。

在天爲氣.在地成形.形氣相感.而化生萬物矣.<素問・天元紀大論 66>

天の五行

すなわち、天の気、天の五行です。気候とも言います。目に見えません。
・厥陰風木…天を行き渡る風
・少陰君火…天から注ぐ光
・少陽相火…天に蓄えられた気温
・太陰湿土…天に充満する湿り気
・陽明燥金…天の澄み渡った正大さ
・太陽寒水…天の襟を正す厳粛さ

地の五行

これら天の気が、地にあっては、目に見えるものとして具現化されます。地の形、地の五行です。物候とも言います。
・木 …命のスムーズな成長
・火 …命の熱心な活動
・土 …命の営みの舞台
・金 …命を宿す物質
・水 …命を生み出す源
地の五行、これが我々が最も認識しやすい「木火土金水」でしょう。樹木とか炎とか金属とか、日本語のままにとらえてしまうと荒唐無稽な説明に終わってしまい、役に立ちません。

時空の中に息づく五行

さて、中国で生まれた運気論では木火火土金水ですが、日本においては、雨季が中国とは異なるので、順番が少し違ってきます。
※運気論では、二十四節気は初日ではなく中間日を起点とする。以下、わかりやすさを優先して十二ヶ月に置き換えた。

・厥陰風木…大寒から春分 (2月・3月ごろ)  
・少陰君火…春分から小満 (4月・5月ごろ)
・太陰湿土…小満から大暑 (6月・7月ごろ) …梅雨
・少陽相火…大暑から秋分 (8月・9月ごろ)
・陽明燥金…秋分から小雪 (10月・11月ごろ)
・太陽寒水…小雪から大寒 (12月・1月ごろ)

このような天の五行のめぐりが、地においては春夏秋冬の生長収蔵という形で現れます。

生は春だけでなく夏秋冬にも見られます。生が春…というのは、とくに春に色濃く見られるというに過ぎません。こういうものが地における木性です。他の長・収・蔵もこれに準じます。これが地における木性です。

これらが地球 (土) という空間と、めぐりめぐってやまない時間のなかで存在する…ということですね。

まとめ

以上見てきたように、五行には、

・宇宙が誕生する以前の五行…水火木金土
・宇宙が誕生した以後の五行…木火土金水

があります。また、宇宙が誕生した以後の五行は、

・天の五行
・地の五行

に分けることができます。

それぞれで表現されるものは異なってもその意味するところは変わりません。すなわち書経の、潤下、炎上、曲直、従革、稼穡 です。しかし、どの五行を基準に行っているのかを明確にしないと何を言っているのかわからないことになります。

水曰潤下、火曰炎上、木曰曲直、金曰從革、土爰稼穡。<書經>

宇宙は最初、丸く小さな滴り落ちるもの (水・潤下) から始まりました。その静けさから陽動 (火・炎上) が生まれます。静止からの第一歩です。地球をイメージすると、「上」は天すなわち大気圏で、拡散を意味します。それは「上」に、まっ直ぐに拡散し成長し (木・曲直) 、未熟ながら形態が生じます。フニャフニャのビーチボールのようなその形態は、空気 (宇宙空間) によって堅く張り詰め、物質としての形体 (金・従革) が生じます。

水最微爲一、火漸著爲二、木形實爲三、金體固爲四、土質大爲五。<書經>

宇宙の誕生をイメージしてもいいし、細胞をイメージしても同じことです。潤下の「下」とは求心力のこと、炎上の「上」とは遠心力のことです。

潤下・炎上・曲直・從革、以性言也。稼穡、以德言也。<書經>

それら水・火・木・金のそれぞれが持つ「性」を、土という包容力が受け止めます。地 (地球) の完成です。

地ができて、天ができる。天にも五行の気は息づき、天気が地に現れ、地の五行となる。

天地を包括するところの五行…つまり宇宙という生命の誕生です。

宇宙というビーチボールに地球 (土) が生まれた。細胞というビーチボールに核が生まれた。そして天にある日月星辰が運行を始めた。核の外にあるミトコンドリアやリソソームなどが活動を始めた。

その生命は、朝に芽吹き、昼に葉を広げ、夕に結実し、夜に落果し、種は静かにやがて来る朝を待ちます。その営みを永遠に続けるのです。その営みは「徳」すなわち、われわれが歩むべき道であり、生長収蔵という真実です。

清陽上天.濁陰歸地.是故天地之動靜.神明爲之綱紀.故能以生長收藏.終而復始.
<素問・陰陽應象大論 05>

【訳】陽は上に昇り、やがて陰に転化して下に降る。天地万有にこの動静があり、成長してやまざる天地自然の法則である。生長収蔵がこれをよく体現している。終わっては始まるのだ。

生長収蔵。これはいずれ死に至る物質的制約の中、不断に成長し続ける姿です。この道の中に東洋医学は、人の命の営みを見出したのです。

その営みに、肝 (木) ・心 (火) ・脾 (土) ・肺 (金) ・腎 (水) という名が付されました。

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