なずなです。
花の咲く時期はもっと暖かくなってからですが、よく探すともう咲いていました。
茎が赤くなっているのは、霜にあたったからでしょうか。ほんとは緑なんですけど。
本来の姿とは程遠い小ささです。
“七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に”
こんなわらべ歌、ご存知ですか?
民間に昔から伝わる歌ですから、だれが作ったかも謎。
意味もわかりません。
でも、東洋医学をやっていると、なるほど、と思える節があります。
唐土 (中国大陸) の鳥が渡ってこないうちに、ナズナなどの七草でつくったお粥を食べなさい、と直訳できます。
中国の鳥、と言えば思い浮かんでくるのは…
インフルエンザ。
中国のアヒルなどの家畜が、このウイルスの温床といわれています。
それにかからないように七草粥を食べて予防しなさい… という古人 (いにしえびと) の予言なのでしょうか。
冬から春にかけて大流行するインフルエンザ。
感染そのものを防ぐのは難しい。
でも不顕性感染、つまり感染しているけれども症状が出ないまま治癒してしまう場合もありますね。
感染しないためには、ウイルスを避けることが大切。
でももう一つ、体のコンディションを調えて、自然治癒力を強化し、元気に乗り切るのも大切です。
いま流行の、あのウイルスと重ねてもいいですね。
これも中国から飛び立った “唐土の鳥” です。
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では、どうやってコンディションを整えるのでしょうか。
東洋医学の自然観 (天人合一思想) は、冬こそ間食を控えて腹八分にするよう教えてくれています。
見渡してみてください。
冬に飽食する生物は何一つありません。
植物も葉を落とし、動物も食べ物のない季節をジッと過ごしています。
そして、鮮やかな生命力に満ちた「芽ぶきの春」を迎えることができるのです。
七草がゆの質素な姿、わびしい味。
冬はいつもより「すこし貧しく」てもいい。
贅沢に際限のない正月の食事。それによってためこんだドロドロの痰湿。
痰湿は癘気という虫のエサになります。虫は湿って臭いものが好き。
七草の苦味は、痰湿を温めて乾かし (苦温燥湿) 、また下す働き (苦降) があります。
しかし、そんな功能よりも、はるかに大切な「功能」とは。
薄い粥を、しかし温かい粥を、噛みしめる。味わう。
ああ、おいしい。
幸せとは、やってくるものではなく、噛みしめ、味わうものです。
健康とは、それもまた同じ。
このように「心」が整えば、
おのずと「体」も整うからです。
氣生形.《素問・陰陽應象大論05》