僕が生きている「原因」とは何でしょう。父母がいたから? それだけではありません。空気を吸ってるから、水を飲んでるから、食物を食べてるから、太陽があるから、地球があるから。数えればきりがない、きっと星の数ほどあることでしょう。
そして、「月があるから」。これが《素問・八正神明論26》の基本的な考え方です。それによれば、「月という原因」は命に多大な影響を与えているのです。どんな影響を与えているか、下リンクを開いていただけると分かると思います。
《素問・八正神明論26》がなぜ月の影響を詳しく述べているかというと、補瀉を正しく行いたいからです。補瀉というのは中医学の基本中の基本であり、また究極でもあります。補瀉が的確にできれば名人です。ただし誰でもいきなり名人にはなれないので、理論を学ぶわけです。つまりマニュアルです。《素問・八正神明論26》にある補瀉も、マニュアルです。
ただし我々は、月の影響のみで生きているのではありません。さきほどいうように、生きている原因は星の数ほどある。だから、月の影響のみで補瀉をしても、当たる場合と外れる場合があります。マニュアルだからです。
最初はマニュアルを学ぶ。星の数ほどの原因があるのならば、星の数あるマニュアルを学ぶ。学んで学んで、そしてそれを乗り越えた時、「臨機応変」がかないます。
マニュアルを知ったうえで、ただしそれにはこだわることなく、臨機応変の「正しい補瀉」つまり正しい治療ができる。そんな「名人」になりたい。
だから勉強するのですね。飽きることなく勉強している様子を下リンクから見て取ってください。
これは病気の原因を考えるときも同じです。原因は一つではない。星の数ある原因を踏まえたうえでまとめていくのですね。まとめ上がった時、ああ、結局そういうことであった…という一つの気付きが得られます。これが悟りです。健康とは、そういう成長のなかで得られるものです。