奇跡って何だろう

信じられない話があります。
肝臓という臓器は、4分の3を切り取られても、元どおりに再生するというのです。
僕だったら?
確実に死にますね。

仮に生き延びたとしても、手が生え足が生え…などあり得ないことです。
そんなことがもし起こったら、それは奇跡ですね?
そんな奇跡を、肝臓という臓器は、当たり前の日常のようにやってのけるのです。

肝臓の仕事とは何でしょう。食べたもの (動物や植物などの異生物) を材料に、人間の体を作る。
この体は、3ヶ月後には消えて無くなり、新しい体に生まれ変わると言われます。代謝です。
そして、この体を埋め尽くす血管は、つなぎ合わせると地球2周半もする長さがあると言われます。
そんな長さの血管を、わずか3ヶ月で、しかも魚や鶏や豆を材料に作ってしまうとは!
人間業ではありません。奇跡と言っていい。

肝臓には500以上の機能があると言われます。分かっているものだけで500です。いったいどのくらいの働きを持っているのでしょう。命の営みである “500の機能” を一手に束ね、命を支える。それは、いっとき機能しなくなったとしても、不死鳥のようによみがえるのです。

臨床をやっていると “奇跡が起こった” と思うことがままあります。

乳児アトピーの症例
乳児のアトピー、鍼による施術、で約3ヶ月の施術期間、18回の施術日数で略治となった症例である。中医学の診断に基づく見立てと治療方法を解説する。緩解する様子は画像によって分りやすい。
乾癬の症例
20年来の乾癬、プレドニンを10mg服用し続ける状態で来院され、鍼灸治療期間は3ヶ月弱である。経過中にプレドニンを5mgまで減らしたが、悪化することなく略治となった。黒ずんで見えるのはメラニンである。
認知症予備軍 (軽度認知障害;MCI) の症例… 素直に信じるという奇跡
軽度認知障害 (MCI) の症例である。中医学的に診察し、百会穴に鍼を用いて施術を行ったところ、2週間で改善を見た症例を検討する。
腎臓の難病 (ネフローゼ症候群;指定難病222) … やはり、奇跡は起こる
ネフローゼ症候群の中医学的な症例検討である。ステロイドが効かない巣状分節性糸球体硬化症において、数値の激減を見た症例を考察する。

それは仮想世界の出来事ではなくて、肝臓という “臓器” に、物理的に起こった “現実” なんですね。 “500の機能” が動き出したのです。

では、その方法は? “500の機能” とは?
“肝臓” を考える…東洋医学とのコラボ にヒントを散りばめました。
奇跡を起こすのは “休肝日” だけではないのです。

我々は肝臓に負担をかけすぎています。

肝臓の仕事時間 (食事時間) と仕事量 (食事量) を決めているのは我々です。我々は、いわば社長さんです。
その社長さんは、逆立ちしても真似できないスキルを持った従業員を、こき使う。
美味しいからと言って、のべつ幕なしに食べる。仕事時間を決めずにこき使う。
美味しいからと言って、むやみに食べる。仕事量を考えずにこき使う。

社長! もう限界です! このままだと死んでしまいます!
しかし肝細胞が死なない限り、数値 (AST・ALT・γ-GTP) には出ません。
社長さんは、死んでさえいなければ従業員は元気だ…と思い込んでいる。

知らぬ間に肝臓を働かせすぎる。
それが原因とも知らずに病気になる。
それでも、美味しいものを食べる元気はまだまだある。いつでも食べる。いっぱい食べる。

これには、肝臓も閉口していることでしょう。

しかも、3ヶ月という期限がある。それまでに人体を作る必要があるのです。

ちょっと不出来な体を作ってしまったとしても、だれが肝臓を責めることができるでしょうか。

奇跡の立役者をそんなに疲れさせては…。

冷えでおなやみの方もおられるでしょう。肝臓には、体温を上げて温める働きがあります。これも “500の機能” のなかの一つです。

“温める” は当座しのぎの付け焼き刃、芯から改善する。

肝臓がテキパキ働けば、体温を上げるどころか、 “500の機能” が、頼まなくともテキパキ動く。治すつもりのないところまで…!

東洋医学とよく似ていますね。

足の痛みを治したら4センチ大の巨大ホクロが取れた。
狭心症の痛みを治したらパーキンソンの震えが取れた。
アトピーを治したら発達障害が改善して通知簿が上がった。
アトピーを治したらコレステロールが下がった。
認知症を治したら耳が聞こえるようになり、歯槽膿漏も治った。

肝臓が働き出したと考えると?

ホクロも脳神経も心臓も皮膚もコレステロールも耳も歯も、作っているのは肝臓その人なのです。

体を作る。東洋医学ではこの働きのことを「脾」と言います。
脾の “気血生化の源” としての働きは、肝臓の持つ「代謝」のことだったのですね。

そういえば、500では効かない臓器があります。
脳です。
これも奇跡を起こす臓器です。
考え方は、今すぐにでも180°変えることができる。

新しく正しい知識で、今すぐにでも上書きできる。

奇跡はすぐそこにある。

 

 

参考文献
塚田捷ほか「未来へ広がるサイエンス2」啓林館 2015 (中学理科の教科書)
浅島誠ほか「新編生物基礎」東京書籍 2018 (高校理科の教科書)

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