信じられない話があります。
肝臓という臓器は、4分の3を切り取られても、元どおりに再生するというのです。
僕だったら?
確実に死にますね。
仮に生き延びたとしても、手が生え足が生え…などあり得ないことです。
そんなことがもし起こったら、それは奇跡ですね?
そんな奇跡を、肝臓という臓器は、当たり前の日常のようにやってのけるのです。
肝臓の仕事とは何でしょう。食べたもの (動物や植物などの異生物) を材料に、人間の体を作る。
この体は、3ヶ月後には消えて無くなり、新しい体に生まれ変わると言われます。代謝です。
そして、この体を埋め尽くす血管は、つなぎ合わせると地球2周半もする長さがあると言われます。
そんな長さの血管を、わずか3ヶ月で、しかも魚や鶏や豆を材料に作ってしまうとは!
人間業ではありません。奇跡と言っていい。
肝臓には500以上の機能があると言われます。分かっているものだけで500です。いったいどのくらいの働きを持っているのでしょう。命の営みである “500の機能” を一手に束ね、命を支える。それは、いっとき機能しなくなったとしても、不死鳥のようによみがえるのです。
臨床をやっていると “奇跡が起こった” と思うことがままあります。
それは仮想世界の出来事ではなくて、肝臓という “臓器” に、物理的に起こった “現実” なんですね。 “500の機能” が動き出したのです。
では、その方法は? “500の機能” とは?
“肝臓” を考える…東洋医学とのコラボ にヒントを散りばめました。
奇跡を起こすのは “休肝日” だけではないのです。
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我々は肝臓に負担をかけすぎています。
肝臓の仕事時間 (食事時間) と仕事量 (食事量) を決めているのは我々です。我々は、いわば社長さんです。
その社長さんは、逆立ちしても真似できないスキルを持った従業員を、こき使う。
美味しいからと言って、のべつ幕なしに食べる。仕事時間を決めずにこき使う。
美味しいからと言って、むやみに食べる。仕事量を考えずにこき使う。
社長! もう限界です! このままだと死んでしまいます!
しかし肝細胞が死なない限り、数値 (AST・ALT・γ-GTP) には出ません。
社長さんは、死んでさえいなければ従業員は元気だ…と思い込んでいる。
知らぬ間に肝臓を働かせすぎる。
それが原因とも知らずに病気になる。
それでも、美味しいものを食べる元気はまだまだある。いつでも食べる。いっぱい食べる。
これには、肝臓も閉口していることでしょう。
しかも、3ヶ月という期限がある。それまでに人体を作る必要があるのです。
ちょっと不出来な体を作ってしまったとしても、だれが肝臓を責めることができるでしょうか。
奇跡の立役者をそんなに疲れさせては…。
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冷えでおなやみの方もおられるでしょう。肝臓には、体温を上げて温める働きがあります。これも “500の機能” のなかの一つです。
“温める” は当座しのぎの付け焼き刃、芯から改善する。
肝臓がテキパキ働けば、体温を上げるどころか、 “500の機能” が、頼まなくともテキパキ動く。治すつもりのないところまで…!
東洋医学とよく似ていますね。
足の痛みを治したら4センチ大の巨大ホクロが取れた。
狭心症の痛みを治したらパーキンソンの震えが取れた。
アトピーを治したら発達障害が改善して通知簿が上がった。
アトピーを治したらコレステロールが下がった。
認知症を治したら耳が聞こえるようになり、歯槽膿漏も治った。
東洋医学の「証」って何だろう をご参考に。
肝臓が働き出したと考えると?
ホクロも脳神経も心臓も皮膚もコレステロールも耳も歯も、作っているのは肝臓その人なのです。
体を作る。東洋医学ではこの働きのことを「脾」と言います。
脾の “気血生化の源” としての働きは、肝臓の持つ「代謝」のことだったのですね。
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そういえば、500では効かない臓器があります。
脳です。
これも奇跡を起こす臓器です。
考え方は、今すぐにでも180°変えることができる。
新しく正しい知識で、今すぐにでも上書きできる。
奇跡はすぐそこにある。
参考文献
塚田捷ほか「未来へ広がるサイエンス2」啓林館 2015 (中学理科の教科書)
浅島誠ほか「新編生物基礎」東京書籍 2018 (高校理科の教科書)