3月11日 (2023) 土曜日。
奈良の最高気温は24.8℃だった。もう少しで夏日となるところだった。
異常気象である。
人体にも異常が出ている。
腸胃に熱がこもっている。上巨虚に実の反応がある。急な温かさで、熱がこもったのだ。
その日の診察でそういう方が7割くらいおられただろうか。一度に多くの人が同様の変化を見せるときは気候の変化が関わる。
みな、それぞれ幾ばくかの症状を訴えられた。
熱は上に昇ったり炎症を引き起こしたりする。花粉症・肩こり・右目の充血・動悸など、肋間神経痛も数名おられた。普段は無い便秘を訴えられた方もいた。
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13日 (月) も9割ほどの方に上巨虚の反応があった。
そのなかには、画像のような内出血が出た方もおられた。ちょうど土曜日あたりがハッキリと青あざができていたとのことである。何年も診ている患者さんだが、ぶつけた記憶のない青あざは初めてのことである。これは腸胃の熱 (陽明気分の熱) が営血分に迫った迫血妄行の出血である。出血箇所は、足三里 (陽明胃経) のやや上、陰陵泉 (太陰脾経)、温溜 (陽明大腸経) である。脾胃の弱りがベースとしてあり、ために陽明腸胃に熱がこもったと連想してよい。
すなわち、
・多くの患者さんで急な気温上昇の影響である熱が、肝ではなく腸胃にこもったということ。
・熱が肝ではなく腸胃を犯したのは、そもそも脾胃に弱りがあったからであるということ。
この2つの仮説が、これら出血箇所によってより信憑性のあるものとなった。
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これら症状に対してはみな、正気をバックアップしてから上巨虚を瀉法してもよいのだが、それよりもいい方法がある。そのやり方はもう心得ている。食事の最初の一口目、白米だけをよく味わって食べるのである。
「ここのところ、急に温かくなったでしょ。今日なんか、最高気温が25℃の予報が出てますが、異常気象ですね。だから胃腸に熱がこもって、それが今の症状の原因になっています。でも、気候のせいにしていても仕方ないので、普段から努力していただいてる “白米を味わう”を、もうひと頑張りです。少し以前ならこれくらいの努力でいけてたんですが、この異常気象に対抗するにはもうひと頑張りが必要なんですね。」
「目を閉じて、白米だけをよーく噛んで味わってください。すると、 “ああ…おいしい…” と深〜い嘆息が勝手に起こります。これは白米だけの特徴です。懐かしく、落ち着いた深〜い美味しさです。これが気を下に導きます。胃腸の熱は下に下に導かれ、ウンチとして外に出ていくんですね。
「豪華なごちそうは “おいしーっ!!!! ” とはなりますが、これは気を上に導きます。つまり気が上る、興奮ですね。我々は普段から美味しいものをたくさん頂いているので上に気が昇りやすくなります。ご飯のような素朴な食物をよく味わうことで、下に気を降ろす働きを強化するんですね。」
この話をすると、上巨虚の反応は消失する。
なるほど、そうしてみよう! という「正しい決心」が生まれるからである。>>https://sinsindoo.com/archives/psychosis-case.html#なるほど
上巨虚が消えれば、あとはいつもどおりに治療をすればよい。
玄米については、
https://sinsindoo.com/archives/4-health-law.html#玄米 をご参考に。
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それにしても、白米を軽く見てほしくないのである。
塩も砂糖も使わず水だけで炊く。他に類例のない料理。
その淡さとは裏腹に、
・噛み締め味わうだけで大きな安らぎが得られる。
・感謝に近い美味しさと感動が得られる。
・即座に下腹に力が入り動く力が出る。体を動かして初めて栄養 (おかず) が生きる。
だれもが初めて口に含んだ、母の乳房の味に限りなく近い味。
そして、試してみてほしい。
甘みを真剣に感じれば、腹の底まで届く深い「ひと息」がつけることを。
このひと息が、体調を回復させる大きな「ひき金」になることを。