営気とは

▶営気は栄養作用

営気 (えいき) とは、身体各所に栄養を送り届ける「気」のことをいいます。「栄気」と表記されることもあります。

気には推動・温煦・防御・固摂・栄養・気化の6つの横顔があります。

このうち、栄養作用のはたらきに営気は大きく関わります。

人受氣於穀.穀入於胃.以傳肺.五藏六府皆以受氣.其清者爲營.濁者爲衛.營在脉中.衛在脉外.
《霊枢・營衛生會18》

かんたんにいうと、飲食物から得られる栄養分が営気です。

詳細は、「気の6つの作用」で、栄養作用として説明しました。

▶営気は陰

ただし、東洋医学の言葉は、東洋医学的 (陰陽論的) に捉える必要があります。でないと、東洋医学的な理解にならないので、役に立ちません。

飲食物は腸胃で清 (陽) と濁 (陰) に分けられます。そして清はそのまま脈中に入って営気 (陰) になります。その残りカスである濁は腎気に温められて気化し衛気 (陽) となります。

陰から陽に、陽から陰に「転化」することによって、生命は脈うちます。脈も「ドクン・ドクン」と、動いたり (陽) 、止まったり (陰) しますね。これが陰陽です。

ここでいう脈とは、肺→大腸→胃→脾→心→小腸→膀胱→腎→心包→三焦→胆→肝 の順で大筋をめぐり、また孫絡となって細分化され全身を網羅する「経絡」のことです。そのルートを構成する主要な気が営気というわけです。

陰である営気は、陽である活動 (五臓六腑の気) を支えています。

▶営気は精

榮者.水穀之精氣也.和調於五藏.灑陳於六府.乃能入於脉也.《素問・痺論43》

【訳】営気は水穀の精気である。五臓を和調し、六腑をそそぎ美しくし、脈中に入るのである。

さっきは「清」が営気だといいました。今度は「精」が営気と言っています。ただし営気は動くので精とは言わず精気といいます。

精は営気の本質でもあります。血となり気となるからです。

清は精に通じます。

共通するのは「青」ですね。

▶青の字源

「青」は、「生」+「井 (丼)」で、井戸から生まれる澄み切った水がもとの意味です。これは《書経》でも説かれるところの「生命の根源としての水」のことです。ここから陰陽が生まれます。つまり気 (陽) と血 (陰) が生まれます。

「精」は、精白米 (清) のことです。ヌカ (濁) が取り除かれたエッセンスというイメージがあります。しかもそのエッセンスは、米のように体 (陰) と心 (陽) とを養います。

清と精の両方で考えると「精」がよく理解できます。

営気は、水穀 (飲食物) から得られた「精」です。精は分化して陰と陽になります。すなわち、五臓 (陰) となり、六腑 (陽) となり、それをつなげるところの経絡とともに、営気は臓腑経絡の根幹となるのです。

▶営気は衛気を生む

営気は「栄気」とも表記されます。

「営」と「栄」はよく似た意味ですが、違いもあります。

「營」と「榮」がもともとの字です。共通するのは「火火」ですね。火とはここでは衛気を表します。「呂」も「木」も、衛気を生み出すということです。

「呂」とは延々とつながる守られた部屋です。脈の中も部屋のようになっていますね。脈の中には大切なものがしまわれています。その大切なものを守る護衛の「かがり火」が「火火」です。
「木」はそのまま、木です。木をはりめぐらすように咲く満開の桜が「火火」です。木の中のエネルギーが、花として炎のように表面に出た形です。木を燃料に、燃え盛る (栄える) 火をイメージしてもいいでしょう。

くわしくは、営とは…営気の字源・字義 で説明しました。興味のある方はどうぞ。

衛気は活動の根幹を担います。それを生み出し、支えるのが営気です。

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