宗気とは

宗気とは

宗気とは、脈拍と呼吸に関係し、進む力 (前に動く力) のことを言います。

推動作用を受け持つ気です。

「宗」という字は、親・祖先のことを意味します。「宀」は先祖をまつる建物 (霊廟) 、「示」は位牌をかたどったものです。つまり、本家本元という意味になります。

宗気とは、気の本家本元、つまり気の本質と言えます。

拍動する力

気は陽動です。血は陰静です。
気とは「動き」です。十二経脈を周回してやまないもの、それが気です。

血は陰 (静) で、みずからの力で進むことができません。
そういう血を動かしているのが宗気です。
【私見】bloodは、静止していると血ですが、動いていると気 (営気) です。血を営気に変える働き (気化作用) が宗気とも言えます。血になったり (静止したり) 営気になったり (動いたり) するのが拍動で、その陰陽転化を支配しているのが宗気 (生命の鼓動) と言えます。
故に、宗気は推動作用だけではなく、気化作用の担い手でもあると言えます。

血が動くとは、脈の拍動 (脈拍) です。
宗気とは脈のことです。

脉宗氣也.《素問・平人氣象論18》

呼吸する力

脈拍が早くなると、息がハアハアする。呼吸が早くなる。
古代中国人は、拍動 (宗気) が呼吸を早くすることを、素朴な鑑識眼で見抜いていました。

宗気が呼吸を行うのです。

宗氣…行呼吸焉.《霊枢・邪客71》

体を動かすと、脈拍と呼吸が早くなりますね。
脈拍とは、血が前に進む力であり、これが体を前に動かす力につながります。そして呼吸がそれを支えます。

前に進む力。推動作用。これが宗気です。それを天空の気 (酸素) が支えます。
これは「生きる」ということにほかなりません。
これが気の本質であり、宗気とは気の本質となる部分のことを言います。

宗氣者.為言氣之宗主也.《医旨緒余・宗氣營氣衛氣》

ここまでが《黄帝内経》の内容と字源字義を踏まえて言える最低限の間違いのないところです。 (【私見】を除く)

謎に満ちた宗気

明確な説明がない

ただし、気の本質でありながら、その生成や作用は《黄帝内経》では明らかにされていません。営気や衛気のような明確な説明がありません。すなわち、営気が飲食物から濾し取られた精気から生まれ生命を養い、衛気が濾し取られたあとの糟粕 (ウンチ) から生まれ生命を護衛する…というふうな分かりやすい説明がないのです。

しかし、《霊枢》をよく読むと、行間にヒントが散りばめられています。それが《霊枢・邪客71》《霊枢・營衛生會18》です。この謎に満ちた原文を、僕なりに訳し解釈したものを、
「宗気・営気・衛気」
としてまとめました。宗気について、更に深い世界を知りたい方は、そちらを参考になさってください。

精と宗気の関係は?

また、精や血と、宗気はどのように関わるのか。気血精の関係は知っておきたいですね。宗気が「気のなかの気」であるなら尚更です。

気とは陽です。
血とは陰です。
精とは陰陽 (血と気) を生み出すものです。

宗気は、精から直接生まれた陽であると言えます。
気・血・精・津液とは 
に詳しく説明しましたので、そちらを読んで理解を深めてください。


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