いい流れ

今日は立春5日目、劇寒ですね。気象統計上、大寒から立春までが最も寒くなります。寒さの底、なぜこんな日を古代中国人は「立春」としたのでしょう。

寒さの底であるということは、言い換えればもうこれ以上寒くならないということです。もう寒くならない、つまり暖かくなるしかない。三寒四温を経て、やがて春土用 (4月下旬) に春が極まります。

立春とは「春」ではなく、「これから春になる」という意味なのですね。実はこれこそが東洋思想です。

臨床でよく見かけるのですが、患者さんが症状でつらそうにしているにも関わらず、僕の中医学診断では「よい」と判断される場合があります。いや、「よい」のではなく、「よくなる」が正しいのでしょう。春になる準備か整った。これから春になるのです。

よい方に向かう。よい流れがある。これから良くなる。でも、今はそうではない。

これが成長です。未完成から完成へと進む過程。これを古代中国人は、もっとも重視しました。完成 (完璧) を求めつつも、そこに至るまでの前段階を重視したのです。

流れとは、生命力 (正気) です。季節が前に進む力です。体がよい方へ進む力です。

悠久のときを待って、完成へと進む。ゆっくり。上に上に。前に前に。

その流れを育てる。見守る。それが中医学の根幹をなす理念です。

まるで、野菜を育てるのと同じです。中国文明の土台となったのは農耕文化です。一瞬で勝負が決まる狩猟文化とは対照的ですね。

成長。育てる。花咲く春。収穫の秋 (とき) 。

診療中、最近よく言ってますね。「今、いい流れがあります。それを育てていきましょう。」

立春という起点。そこから悠々と春に向かう大自然のように、この体もその起点ができたならば、待てばよい。悠然と。

もう安心していい。ほっと一安心、一息つけばいい。

邪魔をするのは “焦り” です。

その流れに身をまかす。今という瞬間がたとえ身を切る寒さであろうと、その先にある「春」を見ているかのように。

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