カゼ (感染症)

カゼ (感染症) について。

鍼灸学校の卒業論文、僕のテーマはカゼ治療についてだった。担当教員から「カゼなんか鍼で治らない」と批判されつつも、やめなかった。論文の評価は最下位だった。最初から常識なんかクソ食らえだった。

志は高かったものの、自分の子供のカゼすら治せない情けない日々が続いた。自信をもって患者さんに「カゼを引いたらまずウチに来てください」といえるようになったのは、ここ10年ほどか。

その間に、コロナ禍があった。今だから言える話だが、高熱を発したばかりの患者さんが病院に行かずに当院に来たこともあった。あれはたぶんコロナだった。翌日治ったが。

感染対策はほぼなし。しかし当院でクラスターは出なかった。きちんと通院している方で感染者は結局出なかった。もしそういうことがあったら、院をたたむ覚悟だった。カゼを治す薬はない。大事なのは鍼でコンディションを整えること、そして養生である。信念を崩してたまるか! 養生指導に明け暮れる毎日だった。

そもそも、感染症を否定的に考えるのは間違っている。イメージとしては、カゼが体に入ってきて体の中を掃除 (整理整頓) して出て行ってくれる、そんなふうに肯定的に捉えることが重要である。肯定的に考えると肯定的な結果となる。〇〇〇で治すのは、「片付け」することなく、押し入れに突っ込んで、なすべきことを先送りにしてしまうことだ。それが続けばどのような結果になることか…。

こんなことは、ほんとうにカゼを治している上手な医者なら誰でも知っていることである。病弱だった僕自身もそうやって奇跡を起こした当事者である。なにも野口先生だけではない。あの方は発信力があった。ただそれだけのことである。下手の口出しは「蛙は口から」になりかねないので注意されたい。

ただし当たり前のことだが、カゼに体を掃除してもらうにはコンディションが整っていることが必須である。その条件とは「安静」である。安静にするには安心が必要である。安心を得るには気血を整える必要がある。整えるには治療と養生が必要である。

養生は、間食をやめて腹八分目にすること。そして早く寝ることである。コロナ禍で飲食業時短営業が課せられたが、そのたびに感染者数が激減した事実、9時以降お店が閉まることによって食養・早寝ともオートでできてしまっていたのである。

カゼは〇〇に行かなければ治らないとみんなが確信するほど、不安で疑心暗鬼の世の中となってしまった。医者でもあった文豪・森鴎外は「病気は安静に寝ていれば治る」と言って、自身は病院には行かなかった。時代は下って、「安静」という基本が忘れられた世の中である。

さらに大切なのは下リンク、光明皇后が感染者に行った行為はもろ手をあげて肯定はできないが、その精神をも否定してしまっては、医療のやることなすこと全ては後戻りできない「片付け地獄」に患者を追い詰める結果となるだろう。

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