いまがその冬

冷却水が不足してオーバーヒート、これは車だけの話ではありません。陰が不足して邪熱、これを陰虚と言います。

陽の弱りがあったとしても、この陰の弱りが主要であると診断されれば陰虚証です。仮に陰虚証と診断されない人でも、陰の弱りはいくらかは有ると考えてください。それが主要ではないだけの話です。

陰とは、安らぎ・落ち着き・クールダウンのことです。

特に冬は、陰を養う季節です。
さらに夜は、陰を養う時間帯です。

陰を養うには必要条件があります。安らぎ、そして落ち着いていることです。一言で言えば、安静です。

洞窟で暮らしていた原始人をイメージしてください。冬至をピークに、冬は日が短い。よって暗闇で、じっとしている時間が長い。安静です。冬の夜に、陰をたっぷりチャージしていたのです。大自然に従うよりほかない原始人は、あきらめに似た落ち着きを持って、長い夜をそのように過ごしていたことでしょう。

現代人の冬はまさに今、原始人のそれとは真逆です。夜ふかしは仕放題、おまけにクリスマスだし、もういくつ寝るとお正月だし、なんか美味しいものでもいーっぱい食べちゃおう。

陰をチャージすべきこの季節に、沈着冷静にして深謀遠慮すべきこの時期に、浮足立った気持ちが止まらない。

そのツケはいずれ支払う時が来ます。

夏の暑さが煩わしい、「煩」という字は「火」に「頁 (頭) 」と書きますね。頭や胸を中心に、火のように熱い。不安で落ち着かない。オーバーヒートを起こしているのです。

夏まで待たずとも、もうすでに落ち着きがない。そんな自分を静かに見つめる。

その時間、いまがその時。

陰の深いこの冬にこそ、心を静かに沈め、先々を深く熟慮する…沈着冷静にして深謀遠慮…そんな「豊かな時間」を持ちたいですね。

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