化学物質過敏症

【質問】私は化学物質的な人工の香りを受付なくなり、無香料の物を使用するようになりました。
それは良い事だと思いますが、あまりにも敏感ですと日常生活に支障が出るので、現代で生きる為には多少受入れられる方が良いとも考えました。花粉症等のアレルギーのようになるのは好ましくないとも思うのですが、いかがでしょうか。

体に悪いものを避ける

化学物質的な人工の香りを受付なくなり、無香料の物を使用するようになりました。それは良い事だと思いますが、…

そういうものを受け付けなくなるのは、体がそれを拒んでいるからです。腐ったものが臭いと感じられるのと同じです。健康であるためのいい反応と言えます。

過敏という矛盾

あまりにも敏感ですと日常生活に支障が出るので、…

腐ったもののニオイを敏感に嗅ぎ取ることができ、それを避けるということは食中毒を防ぎ、命を守りますね。しかし、ニオイを嗅いだだけで気持ち悪くなり体調を崩すとなると、これは本末が転倒してしまっています。これが “過敏” です。こうなると病気です。

善悪混淆

現代で生きる為には多少受入れられる方が良いとも考えました。花粉症等のアレルギーのようになるのは好ましくないとも思うのですが、いかがでしょうか。

全くそのとおりです。世の中は体に悪いもので満たされています。自然の食べ物も、消化吸収の過程で毒 (アンモニアなど) を生じます。肝臓が解毒してくれるので何ともないのですが、もし解毒できないとすぐに死に至るほどの猛毒です。

邪悪分子をも取り入れていかないと生きられない。これがそもそもの前提といえます。善悪混淆 (ぜんあくこんこう) の世の中とは、ホントのことなのです。

文明は敵か味方か

アレルギーとは

たとえばアレルギーを考えてみましょう。アレルギーとは、人体に有害ではないものに対して、免疫が全力で排除しようとする病態です。

たとえば花粉は人体に無害です。しかし有害物質であると勘違いして、激しくクシャミをして外に追い出し、鼻水をとめどなく出して花粉を洗い流そうとする。

こういうのは本来ウイルスに対する反応です。ウイルスは人体に有害ですね。だからクシャミや鼻水で、そとに排出しょうとする。これは正常な免疫反応です。

プラスチックアレルギーというのがあります。プラスチックは化学物質ではありますが、その影響はささいなものです。ところが、プラスチックに手を触れただけなのに、皮膚を赤く腫らせ、かきむしらせ、皮膚もろともプラスチックのわずかな痕跡をすら引き剥がそうとする。免疫がそうさせるのです。

プラスチックでアレルギー反応が出てしまうと、電話も車も、何も触ることができなくなります。文明の中で生活できないので、山林の奥地で人知れず暮らしている患者さんがいると聞きます。

アレルギーは、 “きらいだ” と思っただけでも発動することがあります。虫が嫌いな人は、虫がウジャウジャしているのを見ただけでじんま疹を起こすことがあります。

文明を否定する?

もし文明がないとどうでしょう。

衣食住はままならず、そのために病気が増えるでしょう。

とくにカゼです。カゼで死亡する人がたくさんになるでしょう。昔は、冬はフトンの襟口が息で凍ったという話も聞きます。

無農薬で自給自足

ぼくは無農薬・有機栽培で野菜をつくっていて、スーパーではほとんど買うことがありません。子供に食べさせてあげたくて始めたので、もう20年以上になります。体に悪い因子を最大限排除する。できるだけの努力、僕にとってはそれが、自分の手を汚し自分で汗を流すことです。

そんなことをしていると、いやでも近所の菜園の方と仲良くなります。それで、野菜をもらったりあげたりすることがあります。もらう野菜は農薬が使用された野菜です。でも僕はそれをありがたくいただきます (食べます) 。

無農薬有機野菜が体に良いと喧伝し、それを購入するだけの頭でっかちの方は、そういう行動を批判するかもしれませんね。でも20年間、土とともに信念を貫いてきた僕に言わせれば、その批判は “こだわり” に過ぎません。僕の直感は、そのこだわりこそが病気の原因である、と囁いてくるのです。

たしかに農薬は体に悪いでしょう。でも、それをくださった方の好意を拒むことは、すでにその心の中に、病気の原因が巣食っていると思うのです。狭い心では、許容量をすぐに超えてしまうでしょう。 “受け入れる度量” さえあらば、柔らかく受け止められるのです。ストレスになりにくい考え方です。

この野菜にいかほどの有害物質が含まれるか… は第二義です。
この身体がいかほどの恩恵を、土から、また人から受けているか…が第一義です。
第一義 (肝心なところ) に神経質にならないから、第二義 (どうでもいいところ) ばかりが気になるのです。

化学物質過敏症の治療

東洋医学的に化学物質過敏症は、他のアレルギー疾患と同じように考えて治療します。

例えばアトピー性皮膚炎・花粉症・喘息などです。いずれも人体に無害あるいはさして有害ではないものが原因物質となって発作や慢性愁訴を引き起こしますので、考え方はみな同じです。

アトピー性皮膚炎…東洋医学から見た4つの原因と治療法
アトピー性皮膚炎の特徴は、赤い皮膚の炎症です。東洋医学ではこれを「熱」と表現します。熱は、火をイメージすると分かりやすく、赤くて熱いものです。もう一つの特徴である痒さ、これを「風」と表現します。風邪 (ふうじゃ) ともいいます。
花粉症…東洋医学から見た5つの原因と治療法
花粉の飛散を原因として考えることは必要です。しかし、これを我々の力でコントロールすることは限界があります。よって、体質というもう一つの原因に着目する、これが東洋医学の見方です。風寒・風熱・肺脾気虚・肺熱蘊積・気滞血瘀の5つに分類します。
喘息…東洋医学から見た3つの分類と治療法
咳・喘・哮の3つが混在する部分が喘息です。 咳・喘・哮それぞれの病因病理を知ったうえで、患者さんの状態から、どれを主に治療するかを判断し、効率的に治療効果を挙げる工夫をしながら治療します。 以下に、咳・哮・喘の原因と、それぞれの治療方法を見ていきましょう。

陰陽の中道を行く

・排除する努力。これを欠けば有害物質を避けることができません。
・受け入れる度量。これを欠けばストレスを避けることができません。

この2つの相反する考え方は、お互いがお互いを助け合い、育てあい、諌め合う夫婦のような関係…すなわち陰陽です。東洋医学を学ぶと、人として歩むべき道が見えてきます。中庸とは何かが分かってきます。

陰陽って何だろう
陰陽とは何でしょう。たとえば一枚の紙の表裏をイメージします。表と裏は真逆ですが、表のない紙、裏のない紙ならば、紙として成り立ちません。 陰陽とはこのように、相対する概念でありながら、一つの事象や概念を、協力し合って作り出すものです。

その陰と陽との間にあり、双方をバランスよく俯瞰する考え方とは…。
⁠文明の恩恵と、文明ゆえの病気。この矛盾を解決するキーワードとは…。

“感謝”

感謝がどれほど体に良いか。その大きな影響力は、サザナミのような影響力をはるかに凌駕し、千尋の海の底深く飲み込んでしまうことでしょう。

 

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