与 (與) の字源・字義
与 (與) 【訓】あたえる ・〜と
與。黨與也。从舁从与。《説文解字》
【訳】與。黨與である。舁と与からなる。
黨 (党) … 光が当たらず暗い。意義展開して、暗いところ・見えないところで結託した仲間のこと。
黨與 (党与) … 共通の接点や目的を持ち、ともに行動する仲間。徒党。
舁… かつぐ。舁 (か) く。たとえば「駕籠舁き」 (かごかき) 。共同擡起 (一緒に持ち上げる) 。
与。賜予也。一勺爲与。《説文解字》
【訳】与。賜与 (しよ) である。一 (上) +勺 (下) =与
勺 (シャク) … くみとる。水の量をはかる単位。
舁。共挙也。从臼从廾。
【訳】舁。共に上に挙げる。臼 (うす) と廾とからなる。
廾。竦手也。…楊雄說:廾从兩手。
【訳】廾は竦手 (敬いを表す手の形) である。楊雄の説によれば、廾は両手である。
與のイメージ
以上から得られる「與」のイメージは…
両手で臼 (うす) を持ち上げる。
臼の中には「与えるべきもの」がある。
与えるべきものは「汲み取るもの」であるから、栄養のある液体がイメージされる。
「一勺」 (いっしゃく) のお粥のような、栄養あるスープのようなものだろうか。しかもそのスープは臼のように重い。「重」というのは層をなして分厚い意味がある。濃厚かつ重要なスーブがイメージされる。
与。…寡則均,故从一勺。《康煕字典》
一勺ずつ、少ないが均等に一人一人に与える。
同じ釜の飯を食った仲。
結束が固まる。仲間となる。
臓腑経絡学での読み方
人受氣於穀.穀入於胃.以傳與肺.五藏六府.皆以受氣. 《霊枢・營衛生會18》
【訳】人は穀から気を受ける。穀は胃に入り、肺に伝えられ与えられる。肺から (肺→大腸→胃→脾→心→小腸→膀胱→腎→心包→三焦→胆→肝) 順々にめぐり、五臓六腑はみな気を受けることができるのである。
・胃と肺は「党与」であり、同じ釜の飯を食った仲間である。
・濃厚かつ重要な栄養スープを、胃から肺に持ち上げる。
こういうイメージが「与 (與) 」という一字から読み取れる。