5歳の男の子。
おなかが痛いとのことで、急きょ来院。
〇
「すみません、急に…」
「いえいえ、どんな感じ?」
「ハイ、昨日から、おなかが痛いっていうんです。」
「何か思い当たる原因は?」
「最近、うんちが出てないので、それでかなって…」
「ずっと痛がっているわけじゃない?」
「はい、機嫌のいい時もあるし、痛いっていうときもあるし…」
「ふーん、そうですか…」
ということは、承気湯証は否定できそうだ。
〇
舌を診る。舌尖がすこし赤い。気滞により、気が上に上っていることが推測できる。気 (機能) が上に偏ると、下に降る機能が弱まり、便秘になることがある。ちなみに気滞があると痛みを伴うことが多い。
脈を診る。
中位に寒邪が入っている。寒邪は気滞をひどくする。
「おなか痛い…」
「痛いか? よしよし、ちょっと待ってな」
「昨日は保育園に行くのを嫌がって…。少し甘えているのもあのかなーって…」
「そうですか、なるほど。」
診たては、気滞+寒邪。
気滞については「正気と邪気って何だろう▶気滞とは」をご参考に。
寒邪については「外邪って何だろう▶寒邪とは」をご参考に。
左不容を中心に夢分流打鍼術を行い、上に偏った気滞を散らす。
終わって脈を診ると、寒邪が浮位に浮いてきている。
腹を診る。力が出てきた。これで邪気を取ることができる。
この寒邪を取りたい。合谷を探る。左が実。ただし、生きた反応は無い。
合谷を中心とした空間診をおこなうと、肘の方向に反応がある。曲池を探ると生きた反応。
左曲池に金製古代鍼で瀉法。浮いた寒邪を取る。
古代鍼については下のリンクをご参考に。
「ハイ、結構ですよ。冷えが入っていたので取っておきました。カゼみたいなものだと思ってください。冷たいものを飲んだり、お風呂に入ると良くないので、今日はやめておいてください。」
「はい、わかりました。娘もついでに治療してもらっていいですか?」
「ハイ、いいですよ。」
〇
ついでに娘さん (10歳) も治療する。その治療中、お母さんに連れられトイレに。
まもなく水を流す音。
「先生、出ました。ハハハ」
「どれくらい出た?」
「いつもの量より少し多めです。」
「そう、よかったなあ。」
治療して5分後の排便。
全員、すっきり顔。