乗の字源・字義
字源
乗 【訓】のる
「乗」の本字は「乘」である。
「乘」の字源は、人が木の上に乗ることである。後に、足の意味を持つ「止」が付け足された。「北」のように見える部分は、両足を示す。両足で踏んづけて上に乗ることが、「乗」の字義ともなる。
ついでに「止」の字源も示しておく。
字義
「乗」とは、乗車・乗船など、何かの上に乗ることである。
また、
「波に乗る」…時の流れにうまくあう。 時代の風潮・時勢にあって栄える。
「虚に乗ずる」…相手の油断に付け込んで上から襲いかかる。攻め込む。
のような使い方をする。
ここから以下のような字義が展開する。
- 登る
- (馬などを) 制御する。操縦する・操る
- (乗り物に) 座る
- 頼る,基づく,よりどころにする.
- 加わる。こもごも加わること。入りまじること。また、往来すること。同時に行う。
- 踏みつける。 (ローラーのようなもので) 圧力を加えて物体を平たく延ばす。
- 辱める,虐げる
- 打ち勝つ,打ち負かす,勝利する.
- (配下を) 用いる。使役する。
- (国を) 管理する・治める)
- 継承する・踏襲する
臓腑経絡学での読み方
手陽明之別.名曰偏歴.去腕三寸.別入太陰. 其別者.上循臂.乘肩髃.
【訳】手の陽明大腸経の十五絡は、名づけて偏歴という。手関節を去ること三寸、別れて手の太陰肺経に入る。その支別は、上って上肢外側を循 (めぐ) り、肩髃に乗る。
偏歴から別れる脈気は、肩髃を操縦する (牛耳る) … そう考えると、臨床のヒントになりますね。