循の字源・字義
循 【訓】めぐる。したがう。
循.行順也.《説文解字》
行順とは、巡行することです。
また行順は、従順に行うという意味から、
・遵守すること、
・依照(規定・規準・慣例などに従う、基づく、依拠する)すること。
・沿袭 (古いしきたりを踏襲する) すること。
・遵循 (基準となるものに従う) すること
と通じます。
「盾」の字源
そもそも、「盾」という字は甲骨文字から見られる古い字です。意味はそのまま「タテ」です。盾というのは武人の身にそって、付き従って戦地での伴 (とも) となり、従うという意味が生まれます。
そこから、支えたり助けたりする意味を派生します。たとえば大切な人を守る時に「身を盾にして守り抜く」というようなことをいいます。
「循」をただ単に「めぐる」と読むのではなしに、巡行部位の「盾」となって「彳」めぐる…というイメージを持っていいと思います。
臓腑経絡学での読み方
大腸手陽明之脉.起於大指次指之端.循指上廉.出合谷兩骨之間.《霊枢・経脈10》
【訳】大腸手陽明の脈は、母指の次の指 (示指) の先端に起こり、指の上側を規定通りに巡行し、合谷に出る。
循で表現されるのは、「規定通りのルートに従う」イメージです。横道ではない、脈気の本筋です。そこを粛々と巡行する。
またこの例文においては、「母指の剛強さ」を盾のように支える強い脈気をイメージしていいと思います。