結の字源・字義
結 【訓】むすぶ
結,締也。《説文解字》
上古結繩而治。《易·繫辭》
吉.善也。《説文解字》
「結」とは、好意的な意味を含んで連結したヒモ・ロープ。
左の「糸」は結び目を作れるようなヒモ・ロープ。
右の「吉」は「善い」と言う意味がある。
「吉」の起源は諸説あるが、いずれも神壇や祭祀が関係する。
①「吉」の下の「口」は「豆」を表す。上の士は神壇を表す。神と人が供え物 (豆) を通じて結び合うめでたさ。
②「吉」の下の「口」は神への祈りの言葉を表す。上の「士」はもののふの武器を表す。祭祀 (和合) を通じて武備 (敵対) が結び合うめでたさ。
磐代の (いはしろの) 浜松が枝を (はままつがえを) 引き結び (ひきむすび) 真幸くあらば (まさきくあらば) また還り見む (またかえりみむ)
《万葉集・有間皇子》
中大兄皇子から謀反の疑いをかけられ、首を切られるための場所に向かう旅の途中に詠んだ歌です。道に伸びた木の枝を祈りをこめて結び、もし吉と出る (謀反の疑いが晴れる) ならば無事に都に引き返し、帰途でまたこの道を通る際に、結んだ枝を見ることができようか…と詠んでいます。このように、古来から「結ぶ」ということは縁起がよいことであると考えられたようです。
臓腑経絡学での読み方
臨床的に “結ぶ” とされる穴処は効果が高いとされます。
良い意味での可能性を秘めた箇所であるイメージができます。
たとえば邪気が浮いていて、ゴミで言えば捨てるものと片付けるとがキチンと分別され、ゴミ袋に捨てるものが集められて袋口がギュッと結びつけてある状態ですね。あとは捨てればいいだけです。
また脈気と組織が結びつき、仲良く和合するというイメージができます。組織との親和性が高い。
手太陰之筋.起於大指之上.循指上行.結於魚後.《霊枢・経筋13》
【訳】手の太陰の経筋は、母指の上に起こり、指を循 (めぐ) り上行し、魚際に結ぶ。