絡の字源・字義
絡 【訓】からむ。まとう。つなぐ。
絡.絮也.《説文解字》
絮とは、繭を水にひたして裂いてつくった真綿のことです。繊細な糸がまとわりつき、じんわり水が染み込んでいるイメージです。
「各」には、訪問する…という意味があります。その意味と「糸」の繊細さや結びつきを加味して、「絡」をイメージすればいいと思います。
「各」の字源
「各」は「夂+口」
「夂」は「止 (足) 」がひっくり返った形で、足が動く、足で移動する、歩く、という意味がある。
「口」は口唇の口ではなく、門口や洞穴の口、すなわち居住する場所を意味する。
よって「各」は、 (居宅に) 進入し到達し止まる… がもともとの意味である。
「客」はここから派生した。
客は、「宀」すなわち家に訪問しようと歩いていき、お邪魔して留まる人である。客はそれを誰と特定できず、人それぞれなので、各に「おのおの」という意味が生まれた。
「格」は柵の意味があり、タテで堅い「木」をイメージさせることで、堅くて毅然としたものに突き当たるイメージをもたせる。ヨコに進んでタテの堅いものにぶつかる。骨格・品格・格子など。格闘は突き当たってきたものを跳ね返す。よって格には「格拒」のように、阻止する・邪魔する・抵抗するという意味も生まれる。
臓腑経絡学での読み方
絡で表現されるのは、絹糸のような細く繊細な糸 (ルート) の塊に、水 (気血) がじんわりと染み込むイメージです。臓腑の気がその箇所に繊細に染み込み混じり合うのです。
また、複雑に絡みつく密接さもイメージできます。
肺手太陰之脉.起於中焦.下絡大腸.《霊枢・経脈10》
【訳】肺手太陰の脈は、中焦に起こり、下って大腸に、緻密に複雑にまとわりつき絡みつく。
肺と大腸は陰陽関係にあるので、そういうまとわりつき方をするのは当然と言えます。
張景岳は以下のように言っています。
凡在本経者皆曰属,以此通彼者皆曰絡,故在手太陰則曰属肺絡大腸,在手陽明則曰属大腸絡肺,彼此互更,皆以本経為主也。
《類経・七巻》【訳】およそ本経にあるものはみな属という。本経をもって他経に通ずるものはみな絡という。ゆえに手太陰は肺に属し大腸を絡 (まと) う。手陽明は大腸に属し肺を絡 (まと) う。これらは互いに入れ替る。みな本経をもって主とする。