任脈とは《前編》…流注を学ぶ

任脈とは、会陰から承漿までの腹部から顔面部にいたる正中線上にある “脈” のことです。奇経八脈の一つです。

十二経絡と任脈・督脈の二脈をあわせて十四経という呼び方もあります。古来から重視されています。

類経図翼・任脈図

類経図翼の図によっても明らかなように、任脈は人体の前面を流注 (るちゅう) します。一般的には「前が任脈」と認識されています。それと対になるのが後面 (背部正中線) を流注する督脈で「後ろが督脈」と認識されています。

しかし、《黄帝内経 (素問・霊枢) 》をよく調べると、前面 (腹部) だけでなく、後面 (背部) をも流注することが分かります。

胎児のポーズをイメージします。あるいは四足動物でもいいいです。腹は内 (陰) になり、背は外 (陽) になっています。よって人体の場合、前は陰になり、後ろは陽になります。任脈は “陰脈之海” と言われ、陰である腹部を流注するのは当然のことです。そんな任脈が、なぜ陽である背部をも流注するのでしょうか?

任脈の流注

任脉者.起於中極之下.
以上毛際.循腹裏.上關元.至咽喉.上頤.循面、入目.
《素問・骨空論 60》

【訳】任脈は中極の下起こる。そこから毛際を上り、関元に上り、咽喉に至り、オトガイ (下顎) を上り、顔面をめぐり、目に入る。

衝脈任脉.皆起於胞中.上循背裏 (脊裏:甲乙経) .爲經絡之海.
其浮而外者.循腹 (腹右) 上行.會於咽喉.別而絡脣口.
《霊枢・五音五味66》

【訳】衝脈と任脈は、みな胞中に起こり、上って背の裏をめぐる。経絡の海となす。
一本のリボンのように背の裏をめぐった裏面はねじれて腹では表面で外となり腹の表をめぐって上行し、咽喉に会し、別れて唇口を絡 (まと) う。

《後編》に続く。

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