3か月ほど前に、猫が家に迷い込んできた。
ハムスター?と思うくらい小さい。
このままでは死んでしまいそうなので、家に入れてあげた。
体重は300gすこし。
クーラーの室外機の下に隠れていたので、クーと名付けた。
やぎミルクを混ぜたキャットフードが口に合うらしく、食欲旺盛でとても元気。
無意味に走り回ったり、飛び上がったりしている。
ある日、左目だけを細めて涙を流している。
爪でひっかいたのだろうか。
数日後、左目が白濁しているのに気付いた。
涙はもう出ていない。目を気にする素振りもない。
調べてみると白内障の可能性がある。初期の段階だろうか。
調べる限りでは、涙を流していたときは角膜潰瘍、今は白内障である可能性がある。
猫の角膜潰瘍
・目を細める、目を開けられない。
・涙が出る。
・結膜が腫れる。
・角膜の表面に白くなっている部分がある。
・目を気にしてかく。
・外傷・まつげ・乾燥・シャンプー液などの物理的刺激やウイルスなどが原因。猫の白内障
https://www.fpc-pet.co.jp/cat/disease/257
・瞳孔(黒目の中心)が白く濁ってくる。
・ものにぶつかる。
・薄暗い所であまり動きたがらない。
・白目が充血している。
・初期では、目を見てもほとんどわからないこともある。
・だんだん進行してくると、水晶体全体に白濁がみられるようになる。
・濃い白濁が水晶体全体に広がると、失明する。
・外傷が原因となることが多い。あるいは目の炎症。
https://www.fpc-pet.co.jp/cat/disease/259
外傷が原因か。やはり爪でひっかいたのか。
白内障だとすると、自然に治ることはないらしい。
まあ、左だけだし、片方だけ白くて見た目にはかわいそうだけど、元気に走り回っているし、右が見えてるならまあいいか、と。
その数日後、今度は右目を細めて涙を流している。
ほどなく、壁にぶつかるようになった。
両目とも見えなくなったのだ。
元気に走り回ることはなくなった。
カーペットのヘリの一角で、寝転がって一人遊びしている。
壁にぶつかっては、壁伝いにゆっくり歩く。
大興奮の餌の時間だが、玄関の餌置き場に降りるのも、ゆっくり。着地に失敗して、こけることも。
トイレに入るのも手探りで何度も確認している。
家族が近くを通るだけで、足音にビクッと反応しおびえる。
失明したのだ。やはり白内障だった。
「このままだと、もう治ることないんやって。」
娘の言葉に猛反発した。
「とうさんの仕事は不可能を可能にする仕事なんやで! そんな言い方するな!」
とはいえ、猫の治療などしたことがない。
とりあえず猫のツボを調べる。
人間とはかなり違う。
むかし中国では、馬が必需品だったため、馬の治療法も発達して、動物のツボも整理されてきた。
人間の頭のてっぺんにある百会が、猫では腰のあたりにある。
百会は空間を支配する重要穴処だ。
百会に手をかざしてみる。強い反応がある。
ためしに、頭頂部に手をかざしてみる。
反応はない。
やはり、猫の百会は腰にあるようだ。
猫には問診はできない。
体の反応で治療するしかない。
まず、百会で虚実をみる。
そして、百会で空間をみる。
その空間の方向に生きたツボを感じ取る。
これらはすべて、手をかざすか、目視で感じ取る。
反応する穴処に、古代鍼をかざす。
そうやって、治療すること5~6回。
なんと、左目が見えるようになった! 白濁が全くなくなる。
右目の白濁も、外側から消えてきて、小さくなりつつある。
おかげで、いたずら好きのクーが戻ってきた。
かつて、鍼を動物に使う鍼灸師を冷ややかに見る時期が僕にはあった。
しかし、恩師、藤本蓮風先生は、犬猫を飼って鍼灸医学の研究をなさっていると聞く。ペットショップでわざわざ障害のある犬猫を選び、治して飼っておられるそうだ。
もちろん、楽しんでなさっているのだろうが。
それを耳にして、意識が変わった。
病を救うことに、人も動物も関係ないではないか。
そんな意識の変化が、結果としてクーを治療するという発想につながる。
先生、道を照らしていただき、ありがとうございます。
付記
「猫の白内障」アップから5日後、右目の白濁も消えました。
こんな感じです。
両目で見据えて、なにかを狙ってますね。
- ふじ:
はじめまして。白内障疑惑の子猫を飼っています。私も同様、保護した子です。家でケージから落下し、恐らく外傷からの初期白内障だと思います。私も治らないと半分諦めていたのですが、希望が見えました。これ以上進行しないようにと、治る事を願って治療しようと思います。百会の押し方を詳しく教えて頂けませんでしょうか?指では良くないでしょうか…まだ4ヶ月の子猫。私も助けたいのです。どうか返信お待ちしております。
- 返信:
治療の成功については、20年以上にわたる経験の積み重ねの上に起こったことだと、まずはご理解ください。まず、ツボは視覚化できません。これは、砂糖の白い粉は見えるが、肝心の甘さは見えないのと同じことです。しかし、われわれは甘さを、手に取るように感じることができます。ツボも、真剣な努力の積み重ねがあれば、見えるようになります。魚屋さんが、一目で美味しい魚を見抜くようなものです。ツボが見えなければ効きません。眼科疾患ともなれば、なおさらです。ツボが見えないということは、暗がりでコンセントを探し当て、プラグを差し込もうとするようなものです。そのうえ、ツボというものは生きていて、場所が変わるものです。また、ツボというものは刺激を与えることによって効くのではありません。的を射ることができるから効くのです。下手に意図せぬツボにはまってしまうと、悪化の危険があります。それを踏まえたうえで、今できることをご説明します。まず猫の百会は、行儀よく丸まって座ったときの、背中の中心部分です。ここに、毛に触れないようにして、手をかざしてください。そして、百会を中心点として、右回りにゆっくりと回します。このとき、手のぬくもりが、猫に伝わるような気持ちでやってください。以上です。
確信が得られなければ、結果はうまくいきにくくなります。右手を握る自信があるから、握れるのです。卵も立つと信じられるから立つのです。殻の細かい突起が三点となり重心と重なったときに直立します。30分ほど集中すれば立ちます。立つと信じられなければ、途中であきらめます。治療は、卵を立てることなどとは及びもつかない難しさがありますこの治療をして、こういう変化があった…とその場で見抜く力があるからこそ現実化するのです。卵を立てるにしても、目を閉じてやると難しいでしょう。その見抜く力を養うために、日々精進を重ねるのです。そういう積み重ねを技術と言いますが、技術のなさを補えるものがあります。何とかして治すんだ!という「熱い心」です。その熱さを、手のひらの温かみとして、猫に伝えてください。
- ふじ:
ご丁寧に返信いただきまして、ありがとうございます。返信遅れて申し訳ありませんでした。非常に納得いたしました。そうですね、素人ですとさすがに難しいですよね。ただこんな私が出来ること…なんとかして「治すんだ!」という熱い心で、手のぬくもりを猫に伝えてみようと思います。治ると信じて。そして、猫を信じてやってみます。本当にありがとうございました