苦さの原因
東洋医学では、口が苦いのは胆汁の味である… と考える。
そもそも、胆汁は精汁とも呼ばれる。
精は清と濁という陰陽を生む。
清は「肝之余気」として昇発 (上昇) し肝の疏泄を助ける。濁は腑気として下降し後天の精の取り込みを助ける。ふつうは「清」が昇るだけなので口は苦くない。しかし、胆に熱がこもり、清濁を分けることができないと、本来下降すべき「濁」までもが上逆するので口が苦くなる。
邪在膽.逆在胃.膽液泄則口苦.<霊枢・四時氣 19>
胆汁の生成
胆汁はどのようにして生成されるのだろうか。東洋医学の捉え方を紹介しておく。
胆汁の生成と分泌は、胆汁 (東) が “肝之余気” とされているように、肝が行う。
肝之余気.泄於胆.聚而成精.<脉経>
黄疸…東洋医学から見た7つの原因と治療法 をご参考に。
胆は肝ととともに疏泄を行う。
体内にある老廃物、たとえば「コレステロール」「古い血」は濁の一部であり、胆の腑気によって下降する。このようにして老廃物を体外に出す働きは疏泄の一部である。実際に肝臓のはたらきには脂質代謝 (コレステロールを胆汁酸に変える) ・ビリルビンの排出 などがある。
“肝臓” を考える…東洋医学とのコラボ をご参考に。
疏泄 = 肝である。脾の運化を助け、「痰湿」「瘀血」を疏泄し下降して体外に出す。
これが正しい疏泄である。
口苦として胆汁が上逆するのは、誤った肝気による誤った疏泄である。すなわち、肝気が上逆したり、横逆したりすると、胆の腑気が下降できず、下降できなければ上逆するしかないので、苦さを感じる。