足三里

足三里の場所は、下図を参考にしてください。

ツボというのは人によって場所が変化します。反応する場所が本当の場所で、杓子定規に決められたものではありません。しかしそれでは目安も何もなくなってしまうので、正規の場所が決められているのですね。つまり正規のツボの場所とは、多くの人で反応する場所と言えるでしょう。

足三里のもっとも大きい効能は、補気です。また健脾利湿です。

腹痛があれば、ほとんどこのツボに反応が出ます。その反応が取れれば痛みが取れます。ただし生理痛などの腹痛は関係しないこともあります。

補気とはつまり、元気にすることです。

つまり足三里は、元気になるツボですね。生薬で言えばニンジン (高麗人参) と同様です。

ただし、正気も邪気も補う場合があるので、やはり安易な用い方は危険です。正気だけでなく、邪気も元気にしてしまうことがあるのですね。

自覚症状に上らない邪気というのはいくらでもあって、初期ガンや、脳梗塞に至る動脈硬化などが挙げられます。陰陽が正しく動いていれば、正気を補えば補うほど邪気は弱くなりますので、良い効果を期待できます。しかし、陰陽幅が小さくなってうまくシーソー運動ができなくなると、正気を補えば補うほど邪気が強くなることがあり、この場合も、 “最近なんかすごく元気だ” と感じられるので、それが「良くないこと」であると自覚できません。

ツボも薬も、やったら効く、飲めば効くというものではないのですね。中医学の基本である「弁証」を行わずにツボや薬を用いると、必ずリスクがあります。ただし、ツボをいっぱい使えば使うほど、生薬を多種類使えば使うほど、シャープな効果が出なくなるという傾向は見受けられます。相殺するのだろうと思います。結果として効果は出なくなると思います。

逆に、そういうものを少なくすればするほどシャープな効果が出る傾向があります。独参湯 (ニンジンのみ) で出血を止めたり、芍薬甘草湯 (芍薬と甘草のみで、甘草の用量が非常に多い) で筋痙攣を止めたりするなどはその代表です。

松尾芭蕉は弁証もせずに三里に灸をすえていますが、この時代は「飢え」があるので、補気のリスクはあまりないと言えます。いまはみんな飽食ですね。

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