はやく片付けなさい!

【質問】
毎日、子供に怒鳴ってしまうんです。私がフルタイムで働いているので、帰宅したら子供に怒鳴り散らしてしまって…。普段から「お母さんが帰るまでに、宿題終わらせて、部屋を片付けて、お風呂も入って待っていてね」と言ってあるんですが、何もしないでゲームしてるんです。それで怒鳴ってしまうんですけど、もうそれをやめようと思うんですが…それでいいでしょうか。

【回答】
はい、それでいいです。あまり怒鳴ってばかりだと、周りの目を気にする人間になってしまう、それは困りものですね。また、怒鳴り声に慣れてしまうと、本当に伝えたい大切なことも伝わらなくなってしまいます。

宿題をすませない。部屋を片付けない。早め早めに済ませない。ゲームをやってしまう。

みんな、子供だったら出来なくても仕方ないことですね。もちろんお母さんの監視の目があればできるかもしれませんが、人目を気にしてやってるようでは、猜疑心と落ち着きの無さを育てることになってしまいます。怒ってばかりだと、ますますそうなりますので、 “やめようと思う” のは正しいことです。

いずれは、親の監視の目がなくても出来てほしいことなので、学校から帰ってお母さんがいない環境であるならば、それを良い方に活かしていけばいいと思います。

僕自身、そういう事ができるようになったのは、小さい頃にいろいろ失敗してきたからだと思います。学校に忘れ物、よくしたんですよ。でも恥をかいて気をつけるようになった。いまのうちにイッパイ失敗させてあげることです。先回りして注意を与えすぎると、失敗する機会が失われます。これは人生の大きな損失になります。

失敗すれば本人も納得して「ああ、やっぱりお母さんの言う通りだった」となるでしょ? 大人になってから失敗すると社会に迷惑をかけてしまいますが、小さいうちは失敗しても大したことはないですから。まあ、先生に怒られて恥をかくくらいなもので。

ただし、正しく失敗させてやるためには、なぜそうする必要があるか、という「意味」をちゃんと教えてあげる必要があります。たとえば片付けとか、やれって言われても、どうせまた出して使うのになんで片付ける必要があるの? ってなりますよね。

なんで片付けるのか。それはモノを大切にしているからです。
怒られるから片付けるんじゃない。モノが大切だから片付けるんだ。

ではなぜモノを大切にする必要があるのか。それは、モノすら大切にできない人は、ヒトを大切にできないからです。

なぜ、ヒトを大切にする必要があるのか。それは、そもそも人間は、ヒトの役に立つために生まれてきたからです。ヒトの役に立つからこそ、ヒトから喜ばれる。ヒトから喜ばれるからこそ、感謝される。感謝されるからこそ、お金がいただける。お金をいただけるからこそ、生きていける。

生きるということは、片付けることと同時進行なのですね。

親を葬ることも、片付けることです。大事だからこそ、放ったらかしにしない。だから葬るのですね。

僕はもう二人とも葬ったのですが、一人目が亡くなったとき、「じきまたもう一人も亡くなることだし、二度手間になるから放っておこう、一度に葬れば効率的だから…」なんて人非人みたいなことは考えもしません。一人が亡くなったらすぐに葬ります。これは、親というものが大切だからこそ、そうするのです。

すぐに葬る。ていねいに片付ける。

モノも大切であればあるほど、すぐに片付けます。
どんなモノでも大切であるならば、放っておきません。

そういうクセがつけば、時間も大切にできます。だから早め早めにできるようになる。宿題もお風呂も、早めに済ませることができるようになる。なんでも早めにするトレーニングになります。

それだけではありません。なんでも早めにやれば、なにより体に良い。
体を健康に保つ秘訣は予防です。病気になってから片付けるのではなく、早めに片付けておく。
体を大切にするとはそういうことです。

これらは、「人目を気にする心」からは生まれません。
「大切にする心」から生まれます。
人目を気にしていると、大切にする心は生まれません。大切にする心とは、他人がどう思おうが左右されないものです。

自分に向き合いつつ、必要なものと不必要なものを分別する。これを積み重ねることは、大切な力を養うトレーニングになります。つまり、
出来ることと出来ないことを分別する力、すなわち「自分を知る」力です。
出来ないことを「出来る」と請け負ってしまうことから、トラブルは発生します。信頼も失われます。自分を知ることは、生きるうえでも健康になるうえでも不可欠です。

それが自主性です。

「自分」です。

自分にできることを知り、それを叶えていく。
これができれば百戦百勝です。

自主性ほど、人生に大切なものはないでしょう。家族仲良くやるにも、仕事をうまくやるにも、そして体を健康に保つためにも、すべて自主性が無ければ成り立ちません。

モノを大切にする心を育てるために、片付ける。
すると、ヒトを大切にできる。
すると、カラダを大切にできる。
すると、ジブンを大切にできる。

人目を気にする心ではなく。

モノを、ヒトを、大切にする心を育てたい。
カラダを、ジブンを、大切にする心を育てたい。

こういうことを、折に触れて教えてあげて下さい。
覚えていそうならそのまま見守り、忘れていそうならまた、教えてあげて下さい。

そのためには、親自身がそれをまず思い出し、実践することでしょう。

子供は、親の背中から学ぶものだからです。

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